アパート経営には欠かすことのできない空室対策。安定した家賃収入を得るには、入居者を増やすとともに退去者を減らし、高い入居率を維持することが重要です。

そのために必要なのは、費用のかかる大がかりな対策ばかりではありません。アパートオーナーとしてどんなことができるのか、考えてみましょう。

複合的な対策で入居者を増やす

借り手が入居を決める理由はさまざまです。どれだけ立地が良くても、他の条件が不充分であれば入居率を上げることはできません。複合的な対策を行うことで、物件の魅力と満足度を多角的に向上させることが重要です。

リフォームやリノベーションで物件価値を高める

まず入居者を増やす方法として考えられるのは、リフォームやリノベーションです。築年数の古い建物でも外観や内装、間取りや設備を現代的なニーズに合わせて変更することで、物件の価値を一気に引き上げることができます。

しかし工事には、数十万円から数百万単位の費用と時間がかかります。また、工事期間中は入居者を入れることができないため、収入を得ることできません。

また、リフォームしたからといって、必ず効果が出るとは限りません。複数の業者から見積りを取り、費用対効果を考えて慎重かつ冷静に判断する必要があります。

家賃や入居条件の見直し

リフォームやリノベーションなどの大がかりな対策が難しい場合にも、オーナーとしてできることはたくさんあります。

まず考えなければならないのは、家賃設定は適切かという点です。近隣物件の家賃と条件を調べて比較することで、借り手にとって「お得感」のある家賃設定を心がけるといいでしょう。

家賃そのものを下げるのが難しい場合でも、敷金や礼金を0円にする入居してから一定期間 家賃を無料にする「フリーレント」を付けるなどの方法が考えられます。初期費用をできるだけ抑えたいという入居者希望者もいるため、効果が期待できます。

それと同時に、ペットの飼育をOKにする、高齢者や外国人の受け入れを可能にするなど、入居条件を見直すことも重要です。こうした条件は特定の入居者にとって、部屋を探す際の大前提、最優先事項にもなり得ます。もし周辺に同じ条件の部屋がなければ、それだけで大きなアピールポイントになります。

インターネットを無料で提供

また入居者向けにインターネット環境を無料で提供することも、物件価値を高める方法の1つです。

提供方法としては、インターネット事業者と契約して光回線を物件に導入。それを各部屋の入居者が有線LANや無線LANルーターで接続できるようにするのが一般的です。

回線工事などの初期費用はかかりますが、一つの回線を複数の部屋でシェアすることができるので、部屋ごとに契約を結ぶ必要はありません。また毎月の料金は家賃設定の中に含めてしまうこともできるので、費用対効果の高い方法と言えます。

借り手の中には、「入居したその日からネットを使いたい」「自分でネット契約をするのは手間」「契約の方法がよく分からない」という人も少なくありません。家賃の中にインターネット利用料金が上乗せされていたとしても、魅力に感じてもらえます。

ただし、回線品質には注意が必要です。無料サービスとは言え、つながりにくくては住民からの苦情の原因になってしまいます。回線契約には賃貸住宅経営に特化した全戸加入プランなどを提供している事業者があるため、相談してみるといいでしょう。

仲介業者が物件を紹介しやすいようにする

いくら物件が魅力的でも、借り手に紹介してもらえなければ入居者を増やすことはできません。そこで重要となるのが、入居者募集の窓口となる不動産会社(仲介業者)への対応です。

仲介業者とのコミュニケーションの強化

賃貸経営のパートナーでもある仲介業者とのコミュニケーションは、物件の紹介に関わる重要な要素の一つです。日頃からきちんとした連絡や相談をすることで、空室対策の情報交換を行うことができます。またこちらからも物件のアピールポイントをしっかり伝えて印象づけておくことで、仲介業者にとってもお客様に紹介しやすくなります。

また仲介業者とはオーナーとして、誠意を持って接するようにしましょう。先方から「連絡がつかない」、「質問に答えてくれない」、「気難しくてつきあいにくい」と思われてしまうと、それが理由で物件の紹介を後回しにされてしまう可能性もあります。

仲介業者を変える・増やす

今契約している仲介業者との相性があまりよくないというケースもあるでしょう。その場合には、入居率の高い仲介業者に変えてみたり、複数の仲介業者に紹介を委託してみるというのも1つの手です。

仲介業者とは仕事のパートナーとして、お互いにメリットがあるよう上手につき合っていきましょう。

退去者を減らして入居率をキープする

入居率を上げる方法は、新たな住人を増やして空室を埋めるだけはありません。退去者を減らして空室を作らないことも重要です。

清掃や管理の強化

住人にできるだけ長く住んでもらうためには、入居後の満足度を維持する必要があります。たとえどれだけ立地のいい新しい物件でも、管理が行き届いていなければ、住み続けたいとは思ってくれません。

共用スペースやゴミ置き場などの清掃と整理を徹底し、清潔感を保つことを心がけましょう。

また住民からの相談やクレームに迅速に対応することも大切です。中には不満や困ったことがあっても、黙っている入居者も少なくありません。こちらから住人にアンケートを取るなど、意見を聞いてみるのも効果的です。

入居者にとって心地よい環境づくりは、退去者を減らす重要なポイントです。個人で対応するのが難しい場合には、管理会社に任せるという手段もあるので、しっかり対応するようにしましょう。

防犯やトラブル対策の強化

またオートロックや防犯カメラを導入するなど、防犯やトラブルへの対策を強化するのも有効です。女性や初めて一人暮らしをする若年層にとっては、部屋探しの必須条件となっていることもあります。

特に防犯カメラの設置は、犯罪やいたずらを防止する効果はもちろん、実際に事故や事件、クレームなどが発生した場合の原因究明にも役立ちます。また住民のマナー向上にもつながるため、入居者だけでなくオーナーとしても安心です。

ただし、住民のプライバシー保護の問題もあるため、設置場所には注意しましょう。入居者の専有部分を避け、エントランスやゴミ置き場、駐車場といった共有スペースに設置するのが一般的。そのため夜間や悪天候時にも高画質で撮影できる屋外用の防犯カメラがおすすめです。

最近では、モバイル回線(格安SIM)とSDカード、映像を見たり保存したりするためのクラウドサービスがセットになった屋外用防犯カメラもありますので、いろいろと調べてみることをおすすめします。

屋外用防犯カメラ with BIGLOBEモバイル

防犯カメラは購入する以外にも、リースで導入することもできます。「まずはお試しで使ってみたい」という方はぜひ検討してみてください。

借り手の立場で対策を!

このように高い入居率を維持するには、さまざまな対策が考えられます。物件の立地や特徴を多角的に考慮し、借り手の立場で、どんな物件なら住みたいかを考えてみることが大切です。

監修:小林ヒロシ
不動産投資家。ゼロから不動産ビジネスを始めて、現在、東京都内に8棟(新築2棟、中古6棟)のビル・アパート・マンションとコインパーキング・月極駐車場を複数経営。保有物件を自宅から5km圏内の地元に限定し、「ママチャリ」を駆使して自主管理している。稼働率は、ほぼ満室の98%をキープしている。著書に『スマホ1台でらくらく儲かる不動産投資法 』(ダイヤモンド社)などがある。