ビジネスチャットは、業務上の連絡、スケジュールの共有などができるコミュニケーションツールです。LINEなどのテキストチャットが普及してから、企業でもメールより気軽に使えるコミュニケーション手段として普及が進んでいます。テレワークの導入においても重宝されていますね。
ただ、ツールを導入しよう!と思っても種類もたくさんあるので、「結局どれを選べばいいのかわからない」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
この記事では、おすすめのビジネスチャットと、ツールを選ぶ際のポイントをご紹介します。
おすすめビジネスチャット4選
たくさんあるビジネスチャットツールは、それぞれ機能や価格、アプリの使いやすさなど異なった特徴や魅力があります。この記事では、これから導入する会社でも始めやすい4つのおすすめツールを紹介します。
1.Slack 世界でメジャーなビジネスチャット
Slackは2013年にアメリカでリリースされたビジネスチャットツール。全世界では1,200万人以上が利用、日本でも100万人以上が利用しています。(2020年1月末時点)日本はアメリカについで第2位の市場規模となっており、Slackはビジネスチャットの定番となりつつあります。
チャットに便利な機能が豊富!
Slackの特徴は、チャットに便利な機能が豊富であることです。チャットを効率的にすすめる上で便利な機能が備わっています。代表的なものを紹介します。
スレッド機能で1対1のやり取りもらくらく管理
グループでチャットをしていると、個別のやりとりが埋もれがち。そんなときに便利なのがスレッド機能です。メッセージに対して「スレッドを表示」をすると、メインのチャットとは別に、会話をスタートできます。
ブックマークで重要なメッセージは保存
チャットでのやりとりが多くなってくると、大変になるのが過去メッセージの検索です。「ちょっと前にAさんがファイルを上げてくれていたな〜」というときに、メッセージを遡って探すのは面倒ですよね。そんなときブックマーク機能を使えば、自分用のストレージに保存しておけます。
ストレージ機能で資料を共有
SlackではWordやExcel、画像ファイルなどの共有もかんたんです。ファイルを共有したいときは、ファイル共有ボタンを押すだけ。ファイルの共有に悩む必要はありません。なお、ストレージは個人ごとに割り当てられます。プランごとのストレージ容量上限までは自由に利用可能です。
パソコン以外の様々なデバイス(スマホ・タブレット)で利用
パソコン以外のデバイスでも利用可能です。ブラウザだけでなくiPhoneやAndroid用アプリが用意されているので、いつでもどこでもチャットが可能になります。スマホではLINEのようなタイムラインで確認できるので使いやすいです。
Slackの運用にかかる費用
基本は無料で使えます。1万メッセージ以上保存したい、連携するアプリが10個以上ある場合には有料プランにするといいでしょう。音声通話も無料プランだと1対1ですが、有料にするとWEB会議も開けるようになります。
フリー | スタンダード | プラス | Enterprise Grid | |
月額料金(1人当たり) | 0円 | 850円 | 1,600円 | 個別相談 |
メッセージの履歴 | 10,000 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
連携アプリ数 | 10 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
音声・ビデオ通話 | 1対1 | 最大15名 | 最大15名 | 最大15名 |
ストレージ容量 (1ユーザ当たり) |
5GB | 10GB | 20GB | 1TB |
2.Chatwork 日本発のチャット・タスク管理がメインのサービス
ChatWorkは、2011年にサービスを開始した日本発のチャットツールです。民間企業、教育機関、官公庁など253,000社以上に導入され(2020年2月末日時点)、中小問わずいろいろな会社で使われています。日本発のサービスということもあり、メニューはすべて日本語。シンプルで親しみやすいサービスになっています。
ChatWorkの特徴は「個別チャット」と「タスク管理」
ChatWorkもチャットを効率的にすすめる機能が備わっています。特徴的なのが個別チャットとタスク管理機能です。
グループチャットからの「個別チャット」
ChatWorkでもグループチャットから個別やり取りへの移動が楽です。グループチャット上で誰かと直接やり取りをしたくなったら名前をクリック。「ダイレクトチャット」を押せば個別やり取りができます。
さらにビデオアイコンを押せばそのままビデオ会議も可能です。
タスク機能で締め切り管理もラクラク
ChatWorkならではの機能が「タスク管理」です。
自分のタスクリストを作りたい、依頼した相手のタスクを管理したい時に非常に便利。チャット上で、締め切りとタスクを設定でき、また完了時には相手のチャットに自動的に知らせることが可能です。
連絡の手間がはぶけて、報告忘れを防ぐことができます。
ChatWorkの運用にかかる費用
ChatWorkも基本無料で利用できます。使う機能がチャットとタスク管理だけなら無料プランでも十分な場合が多いですが、グループチャット数に制限があるので注意が必要です。ビデオ会議を複数人で行いたいとなればパーソナルプラン、企業など組織で利用する場合には、ビジネスプラン・エンタープライズプランが該当します。
使いたい機能とユーザ数でプランを選択するのがいいでしょう。
フリー | パーソナル | ビジネス | エンタープライズ | |
月額料金(1人あたり) | 0円 | 400円 | 500円 | 800円 |
グループチャット数 | 14グループ | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
音声・ビデオ通話 | 1対1 | 複数人 | 複数人 | 複数人 |
ストレージ容量 (1ユーザ当たり) |
5GB | 10GB | 10GB | 10GB |
広告 | あり | なし | なし | なし |
ユーザ管理 | なし | なし | あり | あり |
※金額はすべて税別。ビジネスプランとエンタープライズプランは年間契約の場合の料金です。
ビジネスプラン・エンタープライズプランにある「ユーザ管理」は、企業やプロジェクト単位のグループなどビジネス組織向けの機能。例えば企業で利用する場合に、社員のアカウントを会社側で追加、削除ができます。そのため、仮に誰かが退職してもアカウントを会社側で削除でき、その社員は退職後ChatWorkにログインできなくなります。これにより、退職者による機密情報の持ち出しや情報漏えいを防ぐことができます。
また、エンタープライズプランには、「社外ユーザー制限」や「IP・モバイル端末制限」などの機能もあり、よりユーザーの管理機能を強化したい場合におすすめです。
3.LINE WORKS スマホでの利用が便利なビジネスチャット
LINE WORKSは、個人用メッセンジャーでもおなじみの「LINE」が作ったビジネスチャットツールです。操作方法や画面は個人用LINEと一緒ですが、スケジュール管理や画面共有といったビジネス向け機能が加わっています。
個人用LINEと同じ画面で使いやすいため、国内企業でも多く採用されており、2017年に誕生、2020年1月には契約企業数は10万社を超えました。
LINE WORKSの特徴
LINE WORKSの特徴は、見慣れた画面にあるといえるでしょう。チャットの画面は個人用LINEと一緒ですし、おなじみのスタンプもそのまま使えます。個人用LINEと同じ操作方法なので、LINEを使っている社員には、使い方の説明が不要です。
社員間のコミュニケーションがスマホ中心なら、今回紹介するサービスでは一番違和感なく使えるサービスといえます。
以下は実際のトーク画面。個人用LINEと何ら変わりがありません。使い慣れた画面でそのまま仕事ができます。
LINE WORKSの運用にかかる費用
LINE WORKSも基本無料で利用できます。規模や目的に応じて柔軟に選べる価格設計になっています。
フリープランでは「1対1」のやりとりが前提となります。LINE WORKSを手軽に試してみたい、少人数のメンバーとのやりとりに使いたい人向けです。
そこから本格的に、組織でメンバーを管理して使うのならライトプラン、チャットだけでなくメール機能も使うのならベーシックプラン、加えて十分な容量がほしいのならプレミアムプランがいいでしょう。
フリー | ライト | ベーシック | プレミアム | |
月額料金(1人当たり) | 0円 | 300円(年間契約) 360円(月額契約) |
500円(年間契約) 600円(月額契約) |
1,000円(年間契約) 1,200円(月額契約) |
トーク | 1対1 | 複数人 | 複数人 | 複数人 |
音声・ビデオ通話 画面共有 |
1対1 | 複数人 | 複数人 | 複数人 |
共有ストレージ | 5GB | 100GB | 1TB | 10TB |
タスク管理 | なし | なし | あり | あり |
ユーザ管理 | あり | あり | あり | あり |
広告 | あり | なし | なし | なし |
メール機能 | なし | なし | あり | あり |
※金額はすべて税別。フリープランでは、管理機能に制限あり。またサポートも無し
4.Google ハングアウト Googleアカウントで利用できるビジネスチャット
最後に紹介するのが「Google ハングアウト」です。Googleが提供するチャットツールで、テキストでのグループチャット、音声通話やビデオチャットが利用できます。Androidには標準でアプリがインストールされており、Googleのアカウントがあれば誰でも使うことができます。
Google ハングアウトの特徴
Google ハングアウトの特徴は「Googleのサービスとの連携が楽」な点です。
たとえば、Google カレンダーにハングアウトを使った会議を登録しておけば、予定に記載されたリンクから会議に参加できます。また、有料プランに登録すればチャット上でGoogle ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションなどの資料ファイルの編集も行えます。
Googleのサービスだけあって、各サービス間の連携のしやすさは他にはないメリットです。
Google ハングアウトにかかる費用
Google ハングアウトは、正確には「GSuite」というオフィスサービスの1つとして提供されています。無料の場合はGmailアカウントで利用できますが、組織で使う場合には「GSuite」の契約が必要です。
プランの主な違いは、会議に参加できる人数やストレージの容量の差。利用する規模に応じて選びましょう。
フリー | ベーシック | ビジネス | エンタープライズ | |
月額料金(1人あたり) | 0円 | 680円 | 1,360円 | 3,000円 |
音声・ビデオ通話 画面共有 |
10人 | 100人 | 150人 | 250人 |
ストレージ容量 (1ユーザ当たり) |
15GB | 30GB | 1TB 5ユーザ以上の場合、無制限 |
1TB 5ユーザ以上の場合、無制限 |
ユーザ管理 | なし | あり | あり | あり |
端末管理 | なし | なし | なし | あり |
※ストレージ容量は、ハングアウトだけでなく、Google ドライブやGmailなど、ほかのGoogleサービスと共通です。
Google ハングアウトは2020年後半に「Google Chat」「Google Meet」に移行
なお、Google ハングアウトは2020年後半に「Google Chat」と「Google Meet」に移行予定です。これまで「Google ハングアウト」のみでテキストとビデオ通話ができていましたが、これからはテキストのやり取りはGoogle Chat、音声と動画はGoogle Meetに分かれる予定です。
すでに利用可能なので、これから使うときはGoogle ChatとGoogle Meetを使うようにするとよいでしょう。
ビジネスチャットツール選びのポイント
ここまでおすすめのビジネスチャットツールを紹介しましたが、最後に何を基準に選べばいいのか?サービス選びのポイントをご紹介します。
導入の「目的」をはっきりさせる
チャットツールを導入するときは「目的」をはっきりさせましょう。
「現在、個人のLINEアカウントをメンバー間の連絡に使っているけど、公私の区別をはっきりさせたい」「コミュニケーションがスマホ中心」ということであれば、「LINE WORKS」がおすすめです。
会社ですでに「Box」などのファイル共有サービスをはじめとするWEBサービスを使っていて、そこにチャットツールをプラスするのであれば、連携が得意な「Slack」が向いています。
また、外注スタッフのタスク管理がメインで、やりとりをメールから置き換えたいのであれば、「ChatWork」が合うでしょう。
Googleのサービスを一通り活用しているのであれば、「Google Meet」の活用がおすすめです。
それぞれ特徴、得意分野が違うので「目的」から選ぶことが大事です。
最初は無料プランでのお試し利用がおすすめ
正直なところ、「チャット機能」に限って言えば、どのサービスも大きな差はありません。どのサービスがいいか迷っていたら、ピンときたサービスでいいので無料プランを試しに使ってみましょう。新しいサービスは使ってみて初めて、自分たちの業務に合うかがわかるもの。
ぜひ、気軽に使える無料プランから始めてみてください!