社会人に必須とされる能力の一つが、文章作成スキルです。
改めて「文章作成」というと、なんとなくライターの仕事のようなイメージがありますよね。ですが、ある程度仕事をしていれば、職種に限らず長短様々な文章を作成しなければならない場面に出くわすことがあるはず。そんなとき、発生してしまうのが「誤字脱字」「表記ゆれ」といったミスです。(ちなみに「表記ゆれ」とは同じ言葉なのにバラバラの表記で書いてしまうこと。読み手がわかりにくくなってしまいます。)
誰しもが経験し、かつ、こういったミスはなかなかなくならないもの。そんなミスの解消に役立つのが「校正支援ツール」です。
この記事では、ちょっとした文章上のミスを減らしてくれる「校正支援ツール」を紹介します。
無料で役に立つ校正支援ツール 3選
ツールには有料のものから無料で使えるものまで色々ありますが、本記事では無料で使えて特徴のある「校正支援ツール」を3つご紹介します。
どれもそれぞれ違った魅力があるものばかり。お試しでいいので、ぜひ使ってみてください。
ブラウザで使える文章校正ツール「so-zou.jp」
最初に紹介するのが「so-zou.jp」です。
「so-zou.jp」は色々なウェブアプリが提供されているサイトで、その中の1つに「文章校正ツール」があります。これは、日本語の文章を解析し、間違った表現や不適切な表現を指摘してくれるというもの。
以下のような文章の間違いを指摘してくれます。原稿を書くときにミスしがちな事項は、大体チェック可能です。
文章校正ツールで確認できる事項
- 誤字・誤変換
- 言葉の誤用
- 禁忌・不快語
- 外国地名表記の間違い
- 固有名詞表記の間違い
- 人名表記の間違い
- 登録商標など不用意に使うべきでない用語
- ら抜き言葉
- 環境依存文字(機種依存文字)
- 仮名表記が望ましい当て字
- 常用漢字表外の漢字
- 略語
- 一般的にはより平易な表記が望ましい言葉
- 二重否定
- 助詞不足
- 冗長表現
「文章校正ツール」の使い方
「文章校正ツール」の実際の利用イメージを紹介します。
まずは、以下のページにアクセスします。文章の入力欄が出てきますので、チェックしたい文章を貼り付け、「検査」ボタンを押しましょう。
そうすると、文章の指摘ポイントが表示されます。
実際に以下の「例文」を入れてみました。
<例文>
『この度新メニューを開発しました。流行中のタピオカをドリアにトッピングしました。食感はまるでいくらそのもの。イタリア料理なのに和風テイストが感じれます。新しいドリアをお楽しみください。このメニューを美味しくないと感じない人はいないでしょう。』
しっかりと「助詞不足」「ら抜き言葉」「二重否定」などやってしまいがちなミスを指摘してくれます。
ちなみに「助詞不足」とは「て・に・を・は」チェックのこと。上の例文だと、正しくは「トッピング(を)する」となりますので、その点を指摘してくれています。ただ、文章によっては、助詞が不足していても、必ずしも意味が通じないわけではありません。
現状の「トッピングする」でも大丈夫では?と感じる方もいると思います。あくまで「可能性」の指摘という点は注意してください。
他にも色々チェックしてくれますので、是非利用してみてください。
漢字の使用割合がわかる「漢字使用率チェッカー」
次に紹介するのが「漢字使用率チェッカー」です。こちらは文章で使われている「漢字の使用率」をチェックしてくれるというもの。
読みやすさの面で漢字使用率を知ることは大事です。しかし、多くの有料の校正支援ツールにはついているものの、ほとんどの無料ツールには実装されていません。
そこをうまく補完してくれているサービスです。こちらのサービスもブラウザで利用可能となっています。
「漢字使用率チェッカー」の使い方
こちらも「文章校正ツール」と同じくブラウザを使います。まずは以下のページにアクセスして、文章をペーストして「漢字率を算出」ボタンをクリックします。
全体の文字数、漢字の数と使用率を出してくれます。
さきほどの例文を入力した場合です。使っている漢字が「20」、使用率が「16.5%」とでました。全体的な印象も、コメントしてくれます。それを踏まえると、「もう少し漢字表記を増やしてもいいな」と判断できるようになります。
文章に漢字がたくさんありすぎると固い印象を与えてしまいますし、少なすぎても締まりがなくなるもの。文章に対してどれくらいの漢字を使っているかをチェックしてみましょう。
オフラインでも使える無料の校正ツール「Tomarigi」
最後に、オフラインでも使える無料の校正支援ツールを紹介します。
「Tomarigi」というサービスで、青山学院大学の「日本語表現法開発プロジェクト」によって生まれた校正支援ツールです。
こちらはWindowsパソコンにインストールして使います。
「Tomarigi」では以下のようなチェックが行えます。無料ツールとは思えないほど多くの項目をチェックできます。
Tomarigiで確認出ること
- 平仮名書きすべき副詞
- 漢字書きすべき副詞
- 英数字とカタカナの全角半角
- 漢数字
- 読点の位置
- 接続詞が漢字になっていないか
- 連用中止形の多用
- 同じ助詞の連続
- 平仮名書きすべき形式名詞
- 不適切な表現(若者ことば)
- 指示語の多用
- 体言(用言以外)止め
- 不統一になりやすい送り仮名
- 句読点の統一
- 重ね言葉
- 長文すぎないか
- 文体「である・ですます調」
- 文末の無駄な表現
- 英単語のスペル
- 平仮名書きすべき補助動詞
- 当て字
「Tomarigi」の使い方
まずはプログラムをインストールします。以下のサイトでセットアッププログラムをダウンロード。Zipファイルなので解凍しておきましょう。
他にアプリの起動に必要なプログラム(MeCab、CaboCha)もインストールします。執筆時点での最新版は「mecab-0.996.exe」となっていました。ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてインストールしてください。
「CaboCha」も同様です。以下のリンクをクリックして、最新のファイルをインストールしてください。こちらの最新版は執筆時点で「cabocha-0.69.exe」となっていました。
インストールが終わったら「Tomarigi3.exe」をクリック。アプリ画面が立ち上がります。
以下はアプリが立ち上がった画面です。画面の左側に文章を入力、チェックボタンを押してみましょう。
そうすると画面右側に指摘が出てきます。
こちらでは二重否定などは出ませんでしたが、「美味しい」が常用漢字ではないとのチェックが出てきました。
「文法」というよりは「日本語表現として正しいか」「読みやすいかどうか」の観点でチェックが入るようになっていると言えそうです。
エディターズ・ハンドブック 編集者・ライターのための必修基礎知識 (Editor’s Handbook)
文章作成ツールは「使い分け」がおすすめ
以上、無料で使える校正支援ツールを紹介しました。
手軽にブラウザで文法チェックするだけなら「文章校正ツール」が合いますし、日本語表現もチェックしたいなら「Tomarigi」が合うでしょう。ツールごとにそれぞれ特徴があって、指摘するポイントも様々です。
それぞれ得意分野が違いますので「これ1つだけ使う」よりは、TPOに応じて「使い分け」してみることをおすすめします。
今回紹介した無料の校正ツールを使って、一段レベルの高い文章を書き上げていきましょう!