取引先に今すぐ連絡を入れたいのに、いただいた名刺を会社に忘れてしまった。
価格表をチェックしたいのに、書類は全てオフィスの机の引き出しにある。
書類にハンコを押すためだけに出社しないといけない――そんな経験はありませんか?
働き方改革や新しい生活様式が推進されていることから、特定の場所に縛られない働き方をしたいですよね。場所からの解放は、書類のデジタル化だけでは実現しません。書類をクラウドで管理することによってかなうのです。
クラウドで管理することのメリット
そもそもクラウドとは?
クラウドとは、簡単に言えば、オンライン上にデータが保存されるさまざまなサービスのことを指します。
例えば、スマホで撮った写真をスマホ本体だけでなく、Google フォトやAmazon Photosなどにバックアップしておけば、スマホをなくしてしまったり、機種変更したりしても、データがなくなることはありません。また、スマホだけでなく、パソコンなど別の端末からも写真データを見ることができます。
これは、オンライン上の保管場所、つまりクラウドストレージに写真データがあるからできることなのです。
いつどこからでも見られる
このように、クラウドストレージ(以下、クラウド)上にデータを置いておけば、いつどこからでもアクセスして、閲覧したり、編集したりすることができます。共有も簡単で、取引先やチームメンバーに書類を共有するときは、ファイルそのものを送るのではなく、共有リンクを送るだけで済みます。
場所を節約できる
大量の書類をデジタル化すれば、机の引き出しや書棚など、物理的な場所を節約できます。一方で、そのぶんハードディスクを増設しなければならなかったり、書類ごとにUSBメモリを用意しなければならないなど、デジタルデータの保管場所を用意する必要が出てきます。
しかし、クラウドを利用すれば、月々わずかな費用で保管場所を確保できます。例えば、Googleのストレージサービス「Google One」なら100GBで月250円から、Microsoft 365を契約していればストレージサービス「OneDrive」が1TB無料で利用できます。
高い安全性
物理的なハードディスクなどは、数年に一度の買い替えが必要になります。とはいえ、「そのうち買い換えよう」と思っていても、データの引っ越しは時間がかかる作業のため面倒になりがち。突然、ハードディスクがクラッシュする……といった事例をよく目にします。
パソコンなどの精密機器にとって、落雷が致命的というのはよく知られていますが、雷が発生するだけでもリスクは高まります。放電するときに、大気中の電圧が高まるからです。そのほか、地震や火災、水害など自然災害の影響を受けたり、盗難といった人災に遭ったりする可能性もあります。
しかし、クラウドを利用すればそのような心配はいりません。ほとんどのクラウドサービス提供事業者では、同じデータを暗号鍵がないと見られないようにしたり、さらに複数のデータセンターに複製して保管したりするからです。たとえ、いくつかのデータセンターが被害に遭ったとしても、別のところでも保管しているのでセーフというわけですね。
ボタン一つでデジタル化とクラウドアップが可能
クラウド連携に特化したドキュメントスキャナーを利用する
書類をデジタル化するには次のような方法があります。
・内容を手入力する
・スマホで写真を撮る
・ドキュメントスキャナーを使う
デジタル化するものが数枚程度であれば、手入力するという方法もなくはないですが、あまり現実的ではないでしょう。
スマホのカメラで、紙の書類を撮影するという方法は、以前に比べてかなり使えるようになってきました。アプリでしかできなかった「紙の輪郭を捉え、紙部分だけを切り取るように撮影する」いわゆる“カメラスキャナー”機能を標準で備えたスマホが増えてきたからです。
とはいえ、もっとも短時間で効率よく書類をデジタル化するなら、ドキュメントスキャナーがおすすめです。
中でも、クラウド連携を謳ったものであれば、取り込んだものが即アップされるため、デジタル化作業をそれほど手間に感じずに、ルーチンワーク化することもできるでしょう。
ScanSnap「iX」シリーズ
最近では、コンビニのマルチコピー機からでも、書類や写真をスキャンできるようになりました。ただ、オフィスに行くより手軽とはいえ、USBメモリーが必要だったり、スキャン利用料がかかったりします。
今後もテレワークや在宅での働き方を検討されているのであれば、ぜひドキュメントスキャナーの購入も検討してみてください。
現在販売されているドキュメントスキャナーには、エプソン「ES-60WB/WW」やキヤノン「DR-C225W II」のように、パソコンまたはモバイルデバイスに接続し、アプリからGoogle Drive、Dropbox、OneDriveといったクラウドサービスにスキャンした原稿を送れるものもあります。
写真は据え置き型のキヤノン「DR-C225W II」/スタイリッシュで接地面積が小さい
写真はモバイルスキャナー エプソン「ES-60WB」/バッテリー搭載で持ち運びに便利
とはいえ、スキャン画像の確認が必要だったり、自動的に付けられたファイル名がわかりにくかったりするため、ひと手間かかるのも事実。
富士通のスキャナー「ScanSnap iX」シリーズでは、PFU独自のサービス「ScanSnap Cloud」があるおかげで、それらの手間を省けるのでおすすめです。
ScanSnap Cloudは、スキャンされた原稿の種類を自動判別して、最適なクラウドサービスに転送します。例えば、名刺なら「Eight」、レシートなら「マネーフォワードクラウド」や「クラウド会計ソフトfreee」、通常の書類であれば「Google Drive」、写真は「Google Photos」などです。
また、ScanSnap Cloudでは、上下が逆になっていないか、縦横を間違えて読み取っていないかを判別し、自動的に補正。ファイル名も、書類のタイトル部をOCRして、「書類の日付」+「タイトルテキスト」という具合に自動生成してくれます。
何より、パソコンやモバイルデバイスを立ち上げることなく、スキャンボタンを押すだけでこれらのことを自動的に行ってくれるという簡単操作。面倒なことが一切ないため、溜め込んだ書類のスキャンや、日ごとに発生する書類のデジタル化をルーチンワークにできるほどの手軽さが魅力です。
とはいえ、自動化するにはちょっとした設定が必要になります。
ScanSnap iX1500を設定してみる
今回は、ScanSnap iXシリーズの「ScanSnap iX1500」を例に、設定方法をご紹介します。
1. ScanSnapの電源を入れ、Wi-Fi設定をする
まず、ScanSnap iX1500の電源を入れます。同機には電源ボタンがありません。コンセントにつないだら、カバーを開けるだけで電源が自動的に入ります。
ScanSnap iiX1500のメインパネルは感圧タッチパネルです。設定ボタンからWi-Fiの設定をしておきます。複数のアクセスポイントがある場合、接続するパソコンと同じものにしておきましょう。
2.パソコンに「ScanSnap Home」をインストールする
ScanSnap iX1500は、設定が済んでしまえば単体で使えるようになりますが、その設定にはパソコンが必要です。そこで、ScanSnap iX1500と接続するパソコンに「ScanSnap Home」をインストールしましょう。
3.ScanSnapとパソコンを接続する
ScanSnap Homeをインストールすると、セットアップ画面が表示されます。ここでは機種を選択し、パソコンに接続します。
今回はWi-Fi接続するため「USBケーブルをコンピュータに接続できない場合はこちら」という文字をクリックしてWi-Fiでつなげます。
接続が終わると、ScanSnap Homeのライセンス認証も完了します。
4.ScanSnap Homeから「プロファイル」を設定する
このままでもスキャナーとして使えますが、読み取った原稿をクラウド保存するには、ScanSnap Homeでの設定が必要です。
左上に表示されている「Scan」ボタンを押すと、ScanSnap iX1500のメインパネルのようなものが別ウィンドウで開きます。ここで、「プロファイル追加」ボタンをクリックしましょう。
「新規プロファイル追加」ウィンドウが開きます。ここでは通常の書類を読み込んだら、Google Driveに保存するように設定しましょう。左側のメニューから「書類を保存」を選択し、右側の「管理」の「タイプ」を「クラウド」にします。
次いで、「サービス名」の「選択」ボタンをクリックすると、保存先のサービスを選ぶウインドウが開きます。サービスを選び、「選択する」ボタンをクリックしましょう。
ブラウザが開き、Googleアカウントへのアクセス認証画面へと移行します。「許可」ボタンをクリックします。
認証に成功したら、ScanSnap Homeの設定画面に戻りましょう。先ほどのプロファイルが追加されているはずです。
ScanSnap iX1500を使ってみる
それでは、実際にScanSnap iX1500単体で、スキャンからクラウド保存までを一気に行えるか確認してみましょう。
パソコンを経由していないことをはっきりさせるため、ScanSnap Homeのアプリケーションは閉じておきます。
ScanSnap iX1500の給紙カバー(原稿台)を開き、排紙トレーを伸ばします。開いた給紙カバーに、スキャンしたい書類を下に向けてセットします。
メインパネルから、先ほど追加したプロファイル「文書をGoogle Driveに連携する」を選び、「Scan」ボタンをタッチします。すると、書類がスキャンされます。
転送が終わったことを確認したら、Google Driveを開いてみましょう。書類に記載されていた表題を含んだファイル名のPDFが自動的に作成されたうえ、無事に転送・保存されていることがわかります。
持ち運びもでき安価な「ScanSnap iX100」という手も
ScanSnap iXシリーズには、持ち運びに便利で場所を取らないモバイルモデルもあります。それが「ScanSnap iX100」です。
ScanSnap Homeをインストールしたパソコンと有線/無線で接続でき、単体でネットワークにつなげて、ボタン一つでスキャンしたデータを自動的に判別、振り分けてクラウドに保存することができます。
価格も設置型のScanSnap iX1500の半額程度なので、毎日大量の書類が発生するわけでなければ、こちらを選ぶ方法もアリですね。
まとめ
今回は、一度設定してしまえばクラウドへの保存が簡単なScanSnap iXシリーズを紹介しましたが、「読み取った原稿を目視でチェックしたい」「自由なファイル名を付けたい」という場合には、ほかにもさまざまスキャナーが販売されています。
「パソコン周辺機器はこのメーカーでそろえている」「プリンターと同じメーカーにしたい」「デザイン重視」など、好みの1台を見つけて、快適なテレワーク環境を作っていきたいですね。