企業サイトはあるのが当たり前になった現在、人事異動で思いがけずWeb担当者になってしまったという人もいるのではないでしょうか。Webサイトを閲覧したり検索したりすることには慣れていても、サイト運用とは何をするものなのかよく分からないという人もいることと思います。
本記事では、サイト運用の具体的な内容や、気を付けるべきこと、重要なポイントを解説します。
サイト運用とサイト管理の違い
まず、良いWebサイトとはどのようなサイトかを考えてみましょう。個人のブログのようなものとは違い、企業サイトの場合は何か目的があって閲覧するユーザーがほとんどです。つまり、良いWebサイトかどうかは、訪問した人がその目的を果たせるかどうかで評価されます。
ユーザーがどのような目的で訪問するのかは、言い換えればWebサイトの役割は何かということです。自社の正確な情報を知ってもらう、ニュースリリースを公開する、製品・サービスの紹介、プロモーションから販売まで、Webサイトはさまざまな役割を担うことができます。
その役割を果たし、ビジネスに貢献することが、サイト運用です。つまり、サイト運用のためには、どのような人に見てもらい、どのような体験をしてもらうか、そして結果としてどのような行動をとってもらうのかを、まずきちんと定義する必要があるということです。
ちなみに、Webサイトの運用とひとくくりにされることも多いサイトの管理ですが、厳密にはこれらは違うものです。管理はどちらかというと「運用が可能な状態に保つこと」という意味合いで、具体的にはサーバやドメインの管理(アップデート、バックアップ、セキュリティ対策など)のことです。管理と運用を両方任されるケースもありますが、必要なスキルセットはかなり違います。
Webサイトが役割を果たすためには、ユーザーに満足してもらわなければなりません。環境やユーザーの変化に合わせて更新や改善を続けることが重要です。サイト運用には、更新とPDCAサイクルを回すことが必要なのです。
Web担当者が行う主な作業
Webサイトの運用で、まず重要なのが更新です。更新という作業を通して自社サイトをより良いものにするのが、運用の第一歩となります。更新の目的としては、最新情報の提供、情報量の増加、コンテンツの質向上、SEO対策などがあります。具体的には、以下のような作業を行います。
- タイトルやキャッチコピーなどの変更、追加、削除
- レイアウトやデザインの変更
- グローバルナビなどのサイト内導線の変更
- サムネイルの変更、追加、削除
- コンテンツの追加
- 新着情報、プレスリリースの発信
- キャンペーン用ランディングページの作成
- リンクの変更、追加、削除
- ディスクリプションの変更
- その他、HTML、CSS、JavaScriptなどの修正
こうして並べてみると分かるように、Web担当者の仕事はかなり多岐にわたっています。これらの作業をすべて手作業で行うのは大変ですし、ミスも起こりやすいので、Webサイトの運用を効率化するCMSがおすすめです。
特に、企業サイトでは、更新作業を行う人と情報公開の権限者が違うことがあります。大規模サイトも対応可能な商用CMSには、承認フローを設定する機能もあります。
PDCAサイクルを回す
サイト運用というと、記事コンテンツをどんどん追加していくことだと思っている人もいますが、ただコンテンツを増やせばいいというものではありません。雑誌とは違い、Webサイトは常に同じ人が見に来るわけではありません。そのため、必要なコンテンツがそろっているなら、新しい記事が増えないことをそれほど気にする必要はないのです。
世の中の人が知りたいことはそれほど頻繁に変化するものではなく、よく見られるコンテンツはある程度決まってきます。ユーザーに満足してもらうためには、どんどん作り続けるより、現状を分析して改善することの方が重要です。
改善のためには、PDCAサイクルを回す必要があります。PDCAは、仕事をしているとよく聞く言葉だと思います。期待された結果が出るような現実性、具体性のある計画を立て(Plan)、それを確実に実行し(Do)、計画どおりの実績かどうか計測して(Check)、修正や再発防止を含めた改善を行う(Action)。これらを繰り返し行うのが、PDCAサイクルです。
Webサイト改善のPDCAサイクルを回す手順は、以下のとおりです。
1.ユーザー像やサイトの目的を明確にする
ゴールがなければ、達成できたかどうか判断できません。このため、そのWebサイトではどのようなユーザーにどうなって欲しいのかを明確にしておく必要があります。
2.仮説立案とKPIの設定
Planでは、まず目標を設定し、どうすれば目標を達成できるかという仮説を立てます。目標は、定量化(具体的な数字にする)が重要です。また、計画は5W1Hで綿密に立てましょう。例えば、「費用は〇〇円で、いつまでにCV数を〇倍にする」というように具体的な数値で設定します。
さらに、達成度が分かるような中間指標を決めます。例えば、「サイト流入が増えればCVも増えるはずなので、〇〇を使ってPV数を増やす」という仮説なら、KPIはPV数になります。仮説立案やKPIの設定には、ユーザーはどのような人で、どう行動するか分かっている必要があるので、はじめにユーザー像を明確にしておくことが重要なのです。
3.実行して記録する
計画に沿って実行します。あとから検証するため、Doではきちんと記録を残すことが重要です。
4.分析する
Webサイトの評価では、アクセス解析ツールやユーザー行動分析ツールを使って、実行結果を確認します。
分析には、Googleアナリティクスという、Googleが無料で提供しているツールを活用することが多いです。訪問数やCV数、広告のクリック率やCTRの消化金額などを記録してくれます。
Checkでは、達成度合いを確認するだけでなく、なぜそのような結果になったかを考えることも重要です。
5.評価をもとに改善策を考える
うまくいっていること、足りていないことをCheckであぶり出したら、改善策を考え、サイト自体の改善や目標設定の修正を行います。そして、Planに戻り、新たな仮説を考えます。
効果的な運用を行うにはCMSが最適
企業サイトの役割はさまざまですが、どのような役割でも、正確かつ最新の情報が提供されていることが必須です。そのためには継続的な更新や改善が重要ですが、すべてを手作業で行うのは大変でミスも起こりがちです。ツールの導入でミスを減らし、効率化することも非常に重要ですので、CMS導入はぜひ検討してみてください。