2020年7月からレジ袋の有料化が義務付けられるなど、ビジネスや消費活動における環境への配慮が、改めて見直されつつあります。

そんな中、時折耳にするのが「エシカル」という言葉。正確な意味については、ご存じない方も多いのでは?また、同じくよく耳にする「サスティナブル」とはどう違うのかなど、具体的な事例も交えて解説いたします。

エシカルってどういう意味?

本来「エシカル(ethical)」は、英語で「倫理」や「道徳」を意味する「エシック(ethic)」の形容詞です。つまり倫理的・道徳的な観点からの正しさを意味し、法律で決められていなくても、多くの人が正しいと思えるような良識的な社会的規範を表す言葉として用いられるようになりました。

近年では特に「人や地球環境、社会、地域を大切にする考え方や行動」という意味で使用され、人々の暮らしやビジネスに、その考え方が広がりを見せています。

エシカルの具体的な取り組み

例えば、アパレル業界で注目されているのが「エシカルファッション」というジャンルです。

エシカルファッションとは、生産に関わる人々と地球環境への配慮がなされたファッションのこと。環境負担の大きい素材や生産方法が採られていないか、動物保護への配慮はなされているか、また、それを作っている人は劣悪な労働環境や極端な低賃金で働いていないか。このように、原材料の調達から製造、流通、販売に至るまでの全工程で、環境保全や社会貢献を考慮したファッションが世界的に流行しつつあります。

具体例を挙げると、アウトドアブランドのパタゴニアでは、製品に使用するコットンをすべて、農薬や化学肥料を使わず生産するオーガニックコットンに変更。環境に配慮すると共に、生産者や契約農家が安全かつ快適に暮らせるよう、労働者の健康面や賃金などについても配慮した取り組みを行っています。

またファストファッションで知られるH&Mは、再生素材を使用したドレスやアクセサリーなどを発売。2030年までに、すべての素材を再生可能素材に切り替えることを目指しています。

消費者にとってのエシカルとは?

エシカルは製品を供給する側だけの考え方ではありません。普段、何気なく消費している洋服や製品、食べ物などが、どのように作られているのかを知り、十分配慮された物を選んで購入すること。これは「エシカル消費」と呼ばれ、地産地消やフェアトレード製品の購入など、消費者にとっても注目すべき行動規範として重要視されています。

エシカルとサスティナブルの関係

エシカルと同じような場面で使われがちなのが「サスティナブル(Sustainable)」という言葉です。エシカルが「人や地球環境、社会、地域を大切にする考え方や行動」を意味するのに対し、サスティナブルは「持続可能」を意味し、地球環境を保全しつつ持続可能な社会作りを目指す…といった文脈で使用されます。

こちらは本来、「持続可能」「維持することができる」という意味を持つ形容詞です。そのため、環境や資源を維持することや、社会や経済、人々の暮らしを持続させていくことに焦点が当てられています。

そうした違いはあるものの、サスティナブルとエシカルは、密接な関わりを持っていると言えるでしょう。そもそもこれらの言葉が注目されるようになった背景には、気候変動や環境破壊、格差や貧困、人権差別といった世界的な問題が挙げられます。

人々が直面しているこれらの課題を解決していくため、国連は2015年に「持続可能な開発目標」を意味する行動指針「SDGs(Sustainable Development Goals)」を採択しました。SDGsの目標の中には、環境や人権、平和についての目標の他、生産者や消費者の責任といった、人々の倫理観を問いかけるような項目も設けられています。そのためエシカルな取り組みは、人々がサスティナブルな発展に貢献するための方法としても、注目されているのです。

エシカルの普及は企業にとってもチャンス

このように世界中で普及しつつあるエシカルの概念ですが、今後その重要性はますます拡大していくことが予想されます。

企業にとっては負担になるのではないかと不安視する声もありますが、エシカル消費のニーズに応えることは、企業価値の向上や新たなビジネスのチャンスにもなり得ます。これからの社会や経済のためにも、日頃から「エシカル」を意識してみてはいかがでしょうか?