新型コロナウイルスの感染拡大が人々の暮らしに影響を与える中、社会が直面するさまざまな課題が改めて浮き彫りになりつつあります。

企業にとっても事業や経済活動をどのように続けていくべきか、そのあり方が問われています。そこで注目したいのが、「SDGs(エスディージーズ)」に対する取り組みです。この記事では、SDGsの意味や国内における取り組みの実例をご紹介します。

SDGsとは

そもそもSDGsとは、「持続可能な開発目標」を意味する「Sustainable Development Goals」の略称。2015年の国連サミットで採択された行動指針のことです。

環境、経済、社会におけるさまざまな課題を解決していくため、2030年までに世界が達成すべき「17の目標」と、それを細分化した「169のターゲット」が定められています。

SDGsにおける「17の目標」は以下の通り。

1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう

総務省HP内「17の目標と169のターゲット」仮訳

国内におけるSDGsの取り組み

これらの目標達成に向けて取り組んでいるのは、政府機関やNPO法人ばかりではありません。企業はもちろん、消費者にも対応が呼びかけられており、実際に世界中のさまざまな企業や団体によって積極的な取り組みが進められています。

もちろん、ここ日本においても同様です。
外務省によるSDGs推進サイト「Japan SDGs Action Platform」では、業種や規模を問わず、多数の国内事例が紹介されています。

では実際には、どのような取り組みが行われているのでしょうか。優れた取り組みを評価するため、政府が2017年より実施している「ジャパンSDGsアワード」から、具体的な事例を紹介いたします。

環境印刷によるビジネス機会の獲得(株式会社大川印刷)

1881年創業、横浜の老舗印刷メーカー株式会社大川印刷(従業員40名程)では、経営計画そのものに自社で実現可能なSDGsを取り入れ、本業を通じた社会貢献とビジネス機会の獲得を両立。 SDGsに関心の高い大手企業や外資系企業、大使館などとの新規取引や売上増加といった成果を上げています。

具体的には、以下のような取り組みを行っています。

  • ゼロカーボンプリント(海洋資源や太陽光発電の活用、森林資源育成活動への支援を通じた印刷時CO2排出量の打ち消し活動)
  • 環境印刷(違法伐採でないことを証明するFSC森林認証紙や、石油系溶剤0%のノンVOCインキの使用)
  • パートを含む全従業員を対象としたSDGsワークショップの実施
  • 従業員主体によるSDGsプロジェクトチームの立ち上げ
  • 白内障・色弱者の方にも読みやすい「セパレートエコカレンダー」や「4か国語版お薬手帳」など、SDGsを意識した新製品の開発

これらの積極的な取り組みが高く評価され、2018年の第2回ジャパンSDGsアワードでは「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しました。

SDGsによる地域の活性化(魚町商店街振興組合)

福岡県北九州市小倉にある商店街、魚町銀天街では、日本初の「SDGs商店街宣言」を行い、さまざまなサービスやイベントを展開。徐々に活気が失われつつあった商店街の活性化に成功しています。

具体的には、以下のような取り組みを行っています。

  • 多言語マップ作成やWi-Fi完備による誰もが利用しやすい商店街づくり
  • ホームレスや障害者の自立生活支援
  • 透過性太陽光パネルの活用
  • 遊休不動産やビルのリノベーションによる、若手起業家やワーキングマザーのための環境整備
  • 飲食店との協力によるフードロスの削減や規格外野菜の販売、地産地消の推進
  • フェアトレード食品などの試食イベントの開催

こうした街づくりが、国際的ロールモデルになりうる取り組みとして評価され、2019年の第3回ジャパンSDGsアワードで推進本部長賞(内閣総理大臣賞)を受賞しました。

SDGsは企業価値向上のチャンス!

SDGsは多岐にわたる目標が設定されているため、自社の事業計画や目的に合った形で、少しずつ取り組んでいくことが可能です。SDGsで提示される課題に対して取り組むことは、社会貢献のみならず、この先起こり得る経営リスクの回避や、企業価値の向上にもつながります。

新型コロナウイルスが突然流行したように、気候変動や資源不足など、自然環境や社会的な課題がビジネスのあり方を一変させてしまう可能性は、これからも十分にあり得ることです。

10年先の社会を考え、持続可能な開発を実現するためにどんなことができるのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。