新型コロナウイルス感染症の流行によって、私たちの生活は様変わりしました。

外出時には3密を避け、ソーシャルディスタンスを維持すること。常にマスクを装着し、アルコール消毒と手洗いを心がけること。満員電車を避け、企業はテレワークを推進すること。

6月に入って緊急事態宣言は解除されたものの、先行きはまだまだ不透明です。世界的にも感染拡大が収束しつつあるとは言えず、今後は「新しい生活様式」を心がけ、長い目で見ていく必要があると言われています。

では、そのように環境が変化した日常において、私たちの「生活」や「仕事」はどうなっていくのでしょうか。

本記事では新型コロナウイルス感染症を経た世界で起こりうる変化として、主に「テレワーク」の普及がもたらす4つの変化を紐解いていきます。

テレワークは社会に定着するのか

新型コロナウイルス感染症への対策として、都心部を中心に拡大したテレワーク。緊急事態宣言の解除に伴ってオフィスに出社する人も徐々に増えつつありますが、「出社する必要がない業務は自宅で」と、引き続きテレワークを推進している企業も少なくないようです。

海外では「2020年末までは在宅勤務を推奨する」と発表した企業もありますし、オフィスの縮小や勤務形態の再考を検討している企業も多いと聞きます。中には実際にテレワークをしたことで、「出社しなくても仕事ができることに気づいた」「むしろ家のほうが捗る」「会議が減って効率化につながった」という声が、一般社員のみならず管理職からも聞かれている職場もあるとか。

もちろん、接客・飲食・物流・医療・建設などの業種は「出勤」が前提となっていますし、すべての仕事でテレワークが普及するとは限りません。ですが、テレワークが定着する企業があるのも確かであり、それによって起こりうる変化も少なからずあると考えられます。

テレワークの普及によって何が変わる?

では、「当たり前になる」とまでは言わないものの、テレワークが働き方の選択肢のひとつとして定着した社会では、どのような変化が起こるのでしょうか。「必ずこうなる!」と断言できるものではありませんが、いくつかの可能性を考えてみましょう。

① 都心部から引っ越す人が増える

テレワークに限った話ではありませんが、コロナ禍により「都心部への一極集中」がもたらす諸問題を明らかにしました。

ひとたび感染症が拡大すると収まりにくく、オフィスを分散させていない企業は全社的に業務を停止せざるを得ない。日常の移動も公共交通機関が前提のため、遠出するのが困難に。さらには自宅で過ごす時間が増えたことで、近隣住民とトラブルになったという話も聞きます。

そのため、会社でテレワークが認められて出社する機会が減った人の中には、都心部から郊外に引っ越す人が増え始めています。

都心部で暮らす理由は人それぞれですが、「通勤が楽だから」というのは大きな理由となっているはずです。他に目立った理由がなければ、「家賃や生活コストを抑えるために郊外へと引っ越し、広々とした環境で働くほうがいい」と考える人が増えても不思議ではないように思います。

② オフィスの規模が縮小する

テレワークが当たり前になった会社では、物理的な「オフィス」の立ち位置も変わると考えられます。

出勤する社員が減れば、「もっと狭いオフィスでも問題ないのでは?」と考えるのも自然な流れ。デスクを減らし、安価でコンパクトなオフィスに移転する企業が増えても不思議ではありません。

特にスタートアップ企業の場合、都心部でオフィスを借りるにはコストがかかります。「在宅勤務でもパフォーマンスを落とすことなく業務ができる」とわかれば、家賃の負担を抑えるべくオフィス環境を見直す企業も出てくることでしょう。

それこそ個人のみならず、郊外へ移転する企業が今後は出てくるかもしれません。全体として見ればこのような動きは一部に過ぎないかもしれませんが、少なからず「人」と「組織」の動きが変わるのは間違いないと考えられます。

③ 副業・複業の普及が加速する

テレワークの浸透によって生じる大きな変化のひとつに、「通勤時間の削減」があります。2019年の調査によれば、首都圏のオフィスに勤める人の通勤時間は片道平均49分。往復で考えると、1日に1時間半以上を通勤に費やしていることになります。
※首都圏オフィスワーカー調査2019|(株)ザイマックス不動産総合研究所より

それが在宅勤務になれば、通勤時間はゼロ。通勤のために準備する時間も含めれば、2時間近くの可処分時間が生まれることになります。つまり、それまで通勤に充てていた「時間」を別の活動に使えるようになるわけですね。

では、その「時間」を何に使うか。

趣味や家事、子育てや運動など、使いみちは人それぞれですが、中には「副業」のための時間に充てる人も出てくると考えられます。

まさにコロナ禍の真っ只中にある現在もですが、収束後も社会は不安定な状態が続くと言われています。感染症という問題に直面したことで、個人目線でも「今の仕事をずっと続けられるとは限らない」と実感した人も多いのではないでしょうか。

そこで考えられるのが、リスク分散のための「副業」です。

本業とは別に仕事を始めたり、資格取得のための勉強をしたり。「仕事」とまではいかなくても、本業以外の場で活動の幅を広げるために行動を起こす人が増えると考えられます。別の仕事での経験が本業に好影響を与えるケースもあるため、これは企業にとっても悪い話ではありません。

また、サブの「副業」として働く人もいる一方、今後は本業と並行して働く「複業」のスタイルも広まるかもしれません。急な離職などのリスクを減らしつつ、収入源を分散し、スキルアップにもつなげられる。可処分時間が生まれたことで、このような「働き方」の多様性はますます拡大するのではないでしょうか。

④ オンラインでのコミュニケーションの密度が高まる

これまでのインターネット上での関係性は、SNSを用いた「ゆるいつながり」がメインでした。同じ趣味を持つ人や興味関心が近い人とつながり、ゆるいコミュニケーションを楽しむ。基本的には文字でのやり取りが多く、その交流もTwitterやInstagramといった誰でも見られるオープンな空間で行われてきました。

ところが、外出の機会が減り、家で過ごす時間が増え、長時間にわたってオンラインに接続するようになった今、その「つながり」に若干の変化が生じつつあるように見えます。オンライン会議サービスでつながり、お互いに顔を合わせながら、自分の声を使って話す。オープンなSNSではなく、クローズドな空間に集まって、チャットよりも「通話」をする機会が増えた。そのように感じている人も少なくないのではないでしょうか。

これは「インターネットが閉鎖的になりつつある」という話ではありません。どちらかと言えば、「オンラインでのコミュニケーションが濃密になりつつある」と言えるのではないかと思います。

仕事でも生活でもそうですが、外出自粛生活によって面と向かって話す機会が減ったことで、逆にオンラインで他人とやり取りをする時間が増えました。しかし、文字を使ったコミュニケーションには時間がかかりますし、意図が伝わりにくい場合もあります。

そこで、コミュニケーションの質を高めるのに役立ったのが、オンライン会議サービスをはじめとした「通話」のできるサービス。Skypeに代表される通話サービスは昔からありましたが、それがこの短期間で一般にも広く浸透したように感じます。

今後は「通話」で他者とつながるオンラインサービスが続々と登場するかもしれません。すでにオンライン飲み会サービスがリリースされているほか、通話と相性の良いオンライン英会話や、習い事関係のサービスなどがますます広がっていくでしょう。

まとめ 

以上、コロナ後の世界で起こりうる変化を、4つの観点から説明しました。

これらはあくまでも可能性の話に過ぎませんし、実際に変化があるとしても、急速にこのような動きが広まるとは限りません。テレワークをどの程度まで取り入れるかは企業によるでしょうし、それに伴ってオフィスを移転するにしても、まだ検討段階にもないところが大多数なのではないかと思います。

しかし一方で、動きの早い企業や人はすでに何らかのアクションを起こしています。オフィスの縮小を決定したり、テレワークの効率を上げるための施策を打ったり、新サービスの開発を始めたり。あえてすぐには動かず、そのような企業の動きを参考にするのもひとつの手です。

たとえこの感染症が完全に終息したとしても、年単位で見れば、後にはきっと大きな変化が待ち構えているはずです。じわじわと広がっていくだろう変化に対応するためにも、社会の動きを注視しつつ、今できる準備をしておきたいところですね。