福井県高浜町でのワーケーションの魅力を紹介したタブロイド紙「To find your ZEN Takahama~旅するような働き方・暮らし方・生き方」が2021年5月に発行されました。
これは町内の民宿やコワーキングスペースに設置されており、オンラインイベント参加者などにも配布されています。
今回は、このタブロイド紙の内容をご紹介しながら、世界的に注目を集めるWell-being(ウェルビーイング)とワーケーションとの関係性について触れていきます。
Well-being(ウェルビーイング)とは?
Well-being(ウェルビーイング)とは、直訳すると「幸福」や「健康」を意味し、心身ともに健康で満たされた状態を指します。
このWell-beingは、SDGsの17の目標のうちの1つに掲げられており、今世界中で注目を集めている概念なのです。
なぜ今Well-beingが注目されているのか?
日本をはじめとする先進国では、少子高齢化の加速が大きな問題となっており、深刻な人材不足に悩まされています。
さらに、グローバル化が進み、価値観の多様性を受け入れる社会になった日本において、今までのような終身雇用という概念は希薄になり、自分たちの価値観に合った働き方や職場を自由に選ぶというスタイルが広がっています。
つまり、今や企業は会社の利益だけではなく、従業員とその家族の幸福や社会貢献などに配慮した経営が求められているのです。例えば、親の介護や育児と仕事を両立できる柔軟な働き方(フレックスタイムやテレワークなど)を取り入れていること、地方で暮らす人材を採用すること、などが一例として挙げられます。
こうして働き方改革が進む中で、新型コロナウイルスの影響を受け、私たちの生活や働き方は大きく変化しました。それに伴い、「豊かさ」に対する価値観も大きく変化しました。自分自身や家族と向き合う時間が増えたことで、自身の考える豊かさを求め、地方へ移住する人たちも増えています。
このように、個人、企業、社会がWell-beingと向き合う時代になったのです。
Well-beingを高めるメリットと5つの要素
Well-beingを高めると、免疫力や生産性が上がり、創造性も高まると言われています。つまり一個人だけでなく、従業員を雇う企業にとってもメリットになります。
ポジティブ心理学の第一人者として世界各国で活躍しているタル・ベン・シャハー博士は、以下の5つがWell-beingを高め、回復させる要素「SPIRE(スパイアー)」であるとしています。
- Spiritual:幸せな人生と感じていること
- Physical:心身ともに健康であること
- Intellectual:好奇心を持ち、深い学びがあること
- Relational:自分自身と他人との建設的な関係があること
- Emotional:ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情も受け入れ、柔軟に対処できること
※「SPIRE」は株式会社YeeYが商標登録出願中です。
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Well-beingとワーケーションとの関連性
Well-beingは、「内省」によってより高まると言われています。
しかし、デジタル機器に囲まれ、時間に追われる慌ただしい日常生活の中では、内省したり、好奇心を持って新たなことにチャレンジしたりする時間を取るのは難しいものです。
そこで活用したいのが、ワーケーションです。
ワーケーション(Workation)とは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を合わせた造語で、普段の職場から離れ、リゾート地や地方で働きながら休みを取るといった新しいワークスタイルです。
週末や休暇と上手に組み合わせることで、心身のリフレッシュ効果を高め、結果として仕事とプライベートをより充実させることができるという点が最大の特徴です。
新型コロナウイルスの影響により、日本でもテレワークという働き方が一気に普及しました。働く場所を制限されないワーケーションは、温泉地や美しい自然の中で働くことが可能です。仕事以外の時間をより有意義に、リフレッシュして過ごせるワーケーションは、Well-beingを高めるうえで非常に相性が良いのです。
高浜町では「SPIRE」を感じて体験できるプログラムや環境がそろっている
高浜町は、ワーケーションを積極的に受け入れており、Well-beingを高める要素である「SPIRE」を感じ、体験できるプログラムなどが用意されています。一部ご紹介します。
青葉山登山
若狭富士とも呼ばれる高浜町のシンボルは、登山でも人気です。
SUP・サーフィン体験
初心者でも安心!経験豊富なスタッフが安心安全にナビゲートしてくれます。
墨流し・書体験
伝統的な墨流しと書の調和を体験するアートワークショップ。日本の文化である墨の美を堪能できます。
妙見山ハイキング
かつて砕導(さいち)山城があった妙高山。山頂には妙見宮があり、美しい高浜を一望できます。
座禅体験
臨済宗建仁寺派の大成寺では、座禅体験やご住職による説法も聞くことができます。(要予約)
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データで見る高浜町ワーケーションの効果
高浜町では、高浜町ワーケーションの効果検証のため、脳波計測などを行い、データを収集しています。以下は、データから考察したワーケーションの効果の一例です。
- ワーケーションは3日以上の滞在が効果的であること
- 環境の変化でモチベーションが上がること
- 自分に合ったアクティビティを選択することで、ストレスの減少により良い効果がある
使用デバイス:感性アナライザ(電通サイエンスジャム社提供) 実施期間:2020/10/5~10/7(2泊3日) モニター:首都圏企業在籍の男性社員5名) 瞑想状態の評価:起床後と就業直後に10分の瞑想状態の計測を自宅、高浜町の両条件で行う 。 また、アクティビティの前後に脳波を測定し、比較を行った。 生産性の評価:被験者には自宅で業務を模した①クレベリンテスト②通常の業務中の脳波を計測し、高浜町で同様のタスクを実施。 得られた感性の比較を行った。 |
また、まちづくり系医師・医学博士の井階友貴医師によれば、健康のために運動や食事に気を付けるよりも「人とのつながりの力」が健康寿命を伸ばすと言います。「友達が多いほど健康になる」そして「1つの関係性でつながりを持つよりも、小さくても多くの種類の繋がりを持つ方が良い」のだとか。
ワーケーションで新たな友達作り、つながり作りを実践するのもいいですね。
ワーケーションでWell-beingを高めよう!
ワーケーションというと、「仕事と遊びの境界があいまいになる」「仕事と言いつつ遊んでいる」などのネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらは社内でのワーケーションの定義を明確にし、社内の制度や風土を変えることで解消できるでしょう。
ワーケーションには、地方創生や働き方改革、企業の生産性アップ、従業員のWell-beingの向上など、様々な可能性があると感じます。まずはワーケーションについて、正しい知識と情報を様々な観点から収集し、取り入れてみてはいかがでしょうか?