新型コロナウイルスの影響を受ける観光事業への対策や働き方改革の一環として注目を集める「ワーケーション」。フレックスタイムとも、テレワークとも異なる新しい働き方です。

今回はワーケーションの定義やメリット、企業での導入事例、宿泊施設での導入などについてまとめています。

ワーケーションとは?

ワーケーション(Workation)とは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を合わせた造語です。普段の職場から離れ、リゾート地や地方で働きながら休みを取るといった新しいワークスタイルです。

これまで、勤務時間に融通がきく「フレックスタイム」や、働く場所を選べる「テレワーク」など、新しいワークスタイルが普及してきましたが、それらよりもさらに勤務時間・場所の制限が少なく、週末や休暇と上手に組み合わせることで、心身のリフレッシュ効果を高め、結果として仕事とプライベートをより充実させることができるという点が最大の特徴です。

また、観光地や宿泊施設にとって閑散期となる時期や平日の利用者を増やすことで、日本全体の経済を活性化させる効果も期待されています。

ただし、社会的な取り決めがあるわけではないため、ワーケーションの定義や運用方法は企業ごとに異なります。そのため、ワーケーションであっても働く時間を定めていたり、決められた地域で行ったりといったケースもあるようです。今後、普及が進むにつれて、社会的な基準が定まっていくかもしれません。

ワーケーションに対する政府の取り組み状況

政府は、2021年度(令和3年度)の観光庁関連予算案で、「新たな旅のスタイル促進事業」として5億400万円を新規計上しました。これは、ワーケーションやサテライトオフィス実現のための環境整備、普及啓発、旅行商品の造成支援を図るものです。

このほか、ワーケーションの活性化につながる宿泊施設を核とした地域の新ビジネス展開の支援で1億円を計上しています。

つまり、日本政府としては、国内でワーケーションの普及を推進させたいという想いがあることがわかります。すでに各自治体でも、宿泊施設などに対してワーケーション受け入れの環境準備等にかかる経費を支援する制度が設けられています。もはやワーケーションは、企業において導入を検討すべき新しい働き方の1つと言えるでしょう。

ワーケーションのメリット・デメリット

ワーケーションは、企業と従業員それぞれにメリットのある働き方です。

企業のメリット

1. 従業員満足度が高まる

多様な働き方が求められる昨今、企業がワーケーションを導入することは、社員が働きやすい柔軟な働き方を推進している企業として、従業員満足度を高められるでしょう。同時に、求職者へのアピールにもなります。

2. 従業員の生産性や創造性の向上

現在、様々な企業でワーケーションの実証実験が進められています。滞在先の温泉や自然の中でのアクティビティなど、会社や自宅以外の普段と異なる環境で働くことにより、 ストレスが軽減し、生産性がアップするという結果が得られています。ワーケーションを通して社員の肉体的・精神的健康を維持・改善することで、企業側が得られるものも多いと言えそうです。

3. 従業員の主体性や自律性を高められる

旅先で働く場合、従業員の行動を一から十まで管理することはできません。「時間をどのように使うか」「成果につながる行動は何か」を従業員が自ら考え、主体性や自律性を高めることにつながるでしょう。

従業員のメリット

1. ワークライフバランスの悩みを解消できる

従業員の中には、仕事が忙しく、なかなか休暇を取得できない、という人もいるでしょう。ワーケーションを活用すれば、ワーケーション先で平日は仕事、休日は移動時間を取られることなく現地での休暇を楽しむ、ということが可能です。もちろん、仕事の合間を縫って、ワーケーション先で温泉や観光などを通してリフレッシュすることもできます。

2. ボランティアや体験学習はもちろん、将来的な移住に向けた準備も

また、長期的に滞在することによって、観光だけでなく、ボランティアや体験学習、趣味などの活動も行えます。将来的に移住を考えている人にとっては、気になっている土地で実際に生活してみることで、よりイメージがわきやすくなるでしょう。ワーケーションは、ダイバーシティ(多様性)やクリエイティビティ(創造性)を高めることのできる魅力的な働き方なのです。

企業のデメリット

もちろん、ワーケーションを実施するにあたってメリットばかりではありません。 ワーケーションを導入するためには、ワーケーションを実施できるだけの準備とコストがかかります。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • PCやスマホ、モバイルルータなど業務に必要な機器の用意
  • セキュリティ対策やセキュリティ教育の実施
  • 勤務に関する社内規定の整備や勤怠管理システムの導入 など

従業員のデメリット

  • 場合によっては、休暇と仕事の線引きがあいまいになる
  • ワーケーション先のネットワーク環境によっては業務に支障が出る可能性も
  • 同じ社内でも職種によってはワーケーションできない場合がある

ワーケーションを実施するには、テレワーク可能な業種や職種に限られます。例えば、ワーケーションに向いている業種や職種として、以下のようなものが挙げられます。

  • IT系のエンジニア・デザイナー・ディレクター・マーケター
  • 出張のある営業職
  • フリーランスのクリエイターやライター など

一方で、接客業や医療・福祉業、製造業などの場合、ワーケーションの実施は難しいと考えられます。

企業のワーケーション導入事例

すでにワーケーションを導入している企業は多くあります。ここでは、導入事例をいくつかご紹介します。

日本航空(JAL)

日本航空は、2017年からワーケーションを実施しています。2017年の夏季利用者は11名でしたが、2018年の年間のべ人数は174人まで増えています。社内でワーケーションを浸透させるため、役員が率先してワーケーションをしたり、家族を連れてワーケーションをしたりすることもありました。そして社内での取り組みをツアープランとして販売するようにもなりました。

2017年には南紀白浜、2018年には鹿児島県徳之島町でのワーケーションを実施。そのほか、北海道や愛媛、福岡、オーストラリアなどでのワーケーションを行っています。ワーケーションを通じて、地域活性にもつながる可能性も実感できているようです。

三菱地所

企業がサービスの一環として、ワーケーションプランを提供している事例です。

三菱地所は、和歌山県や白浜町と提携してワーケーション用途の施設を白浜に設けました。施設は、南紀白浜空港から車で5分、繫華街やビーチにも近い施設です。 三菱地所の運営するオフィスビルに入居している2,200社の従業員が利用できます(2018年8月時点 )。

プロジェクト推進のための「開発合宿」や短期~中期滞在の「オフサイトミーティング」、環境保全や援農体験などの「CSR活動」などのプランを用意しています。

株式会社ギックスは、1泊2日の開発合宿や1カ月ほどの滞在でのサテライトオフィスとして三菱地所のワーケーションプランを活用しました。従業員からは「ストレスフリーに過ごせた」「クリエイティブな発想で仕事に取り組めた」といった感想が集まったようです。

企業のワーケーションの導入ポイントと課題

企業にも従業員にもメリットがあるワーケーションですが、導入までにはいくつかの課題をクリアしていかねばなりません。テレワークやフレックスタイムを導入しておらず、通常の勤務のみを行っている企業でのワーケーション導入におけるポイントについて、注意点とあわせて解説します。

①テレワーク環境を整える

リゾート地や地方でも働ける環境を整える必要があります。

特にセキュリティ・勤怠の管理は課題となります。セキュリティ面では、パソコンや携帯電話の盗難・紛失、安全なWi-Fiの利用などに注意しなければなりません。また、勤怠の実態把握も難しくなります。勤務をきっちりと管理する場合には、勤怠の報告や成果物の提出といった対策を行う必要があるでしょう。

ワーケーションに限らず、昨今話題となっているテレワーク制度の導入にも必要となるため、いずれにせよ導入を進められるといいでしょう。

②フレックスタイムを導入する

フレックスタイムとは、会社から決められた就業時間ではなく、従業員が自由に時間を選べる制度です。「平日〇時~〇時までは必ず勤務する」といったコアタイムを設けることもあります。

ただし、ワーケーション中はコアタイムを設けるのではなく、より柔軟な勤務時間が従業員から喜ばれるかもしれません。

③新しい働き方に柔軟な社風やルール作り

制度を整えるだけでなく、新しい働き方を行いやすい職場の風土も必要です。ワーケーションを行うには、周囲の協力が欠かせません。たとえば、出社しなければ行えない業務を同僚に依頼する場面もあるはずです。

また、職場でのワーケーション取得に対する理解や、ワーケーションを取得したいと考える社員の不安解消も必要となるでしょう。就業規則なども見直しが必要です。

社風が変わらなければ、制度だけが先行して、従業員の利用率はわずかという状況になりかねません。日本航空の事例であったように、特にマネジメント層の理解と、率先した制度利用が求められます。

これら3つの環境を整えれば、ワーケーション制度を導入しやすいでしょう。①~③を一気に整えることは難しいので、段階的に社内の制度を変えて行く必要があるかもしれません。

ワーケーションにおすすめのスポット4選

ハンジョー編集部が厳選したワーケーションにおすすめのスポットやお宿をご紹介します!

看板猫に会える宿「別府 鉄輪温泉 かんなわ ゆの香」

日本一の湧出量を誇る大分県別府温泉にある「ゆの香」では、4匹のかわいい看板猫たちがお出迎えしてくれます。ワーケーションを積極的に受け入れており、Wi-Fi完備。おしゃれなロビーやラウンジで、ゆったりと仕事をすることができます。

2019年「全国の宿 自慢の看板猫ランキング」1位に選ばれたゆずにゃんには、ぜひご挨拶しておきたいですね。

また、別府温泉では、様々な泉質の温泉が楽しめるだけでなく、観光スポットや地獄蒸しをはじめとするグルメも充実しています。心も体も元気になるワーケーションになること間違いなしです。

別府 鉄輪温泉「かんなわ ゆの香」公式サイト

温泉とサウナとおいしいごはんで整う宿「仙台 秋保温泉 伝承千年の宿 佐勘」

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東京から約2時間。伊達政宗公の湯浴み御殿として栄えた歴史のある「佐勘」は、ワーケーションを積極的に受け入れているお宿です。Wi-Fi完備で、宿泊者が無料で利用できるラウンジで、水のせせらぎの音とコーヒーを楽しみながら、ゆったりと仕事をすることができます。

館内には雰囲気の異なる3種類の温泉とサウナがあり、温泉・サウナ好きをうならせる施設の充実ぶりが自慢です。夜にはライトアップや大人時間を楽しめる静かなバーもあり、まさに自分へのご褒美に宿泊したいお宿ですね。

秋保温泉では、体験型のガラス工房や万華鏡美術館などの観光スポットや、磊々峡(らいらいきょう)や秋保大滝など、自然も満喫できます。まさに大人におすすめしたいワーケーションスポットといえます。

▼参考記事▼
佐勘で過ごす至極のワーケーション!仙台ワーケーションレポート

「仙台 秋保温泉 伝承千年の宿 佐勘 」公式サイト

リゾートワーケーションを楽しめる「沖縄県 サイプレスリゾート久米島」

那覇空港から飛行機で約30分の久米島。サイプレスリゾート久米島では、ワーケーションプランを提供しており、Wi-Fiはもちろん、複合機やレンタサイクルも利用可能です。

ホテルから楽しめる絶景とのんびりと流れる久米島時間は、家族全員を癒してくれるでしょう。

「サイプレスリゾート久米島 」公式サイト

目の前は瀬戸内海!身体のリズムが整う「愛媛県松山市ワーケーション」

あえて、観光スポットなどには出かけず、自分自身と向き合うワーケーションもおすすめです。仕事以外の時間はデジタルデトックス。太陽の動きとともに生活することで、体のリズムが整い、美しい海や波の音を聞きながら、ヨガをしたり、瞑想する時間を作るという、都会ではなかなか味わえない贅沢な時間の使い方を楽しむことができます。

▼参考記事▼
松山でワーケーション!滞在先での過ごし方と自分自身の変化

ワーケーションを積極的に導入してみよう!

ワーケーションの導入は、まだ課題も多く、段階的かつ柔軟に行う必要があります。しかし、ワーケーションを実施した従業員からは満足の声も上がっています。フレックスやリモートワークと同様に、近い将来、一般的な働き方になっているかもしれません。

また、宿泊施設や観光地域においても、ワーケーション需要にしっかりとキャッチアップすることで、地元の経済を活性化させていきましょう。

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