かわいいおもてなしで、お客様を癒してくれる看板猫。動物好きであれば、自分のお店でも猫と一緒に働きたい!と思う方も多いのではないでしょうか。

そこで気になるのが、法律面や衛生面の問題です。特別な許可や資格は必要なのか? 注意するべきルールや法律は? お店に看板猫を迎え入れるために必要となる準備について、ご紹介します。

①食品衛生法に関するルール

そもそもお店に動物を入れることに対しては、法律上どのようなルールがあるのでしょうか。

まず考慮しなければならないのが、飲食店や宿泊施設など、食べ物や飲み物を提供するお店に関わる法律「食品衛生法」です。食品衛生法では、お店の衛生管理についての基準は、各都道府県が定めることになっています。そのため、地域によって多少の違いがありますが、ほとんどの場合で「調理場は動物NG。客席は動物OK」と定められています。

食品衛生法における作業場とは?

例えば東京都の「食品衛生法施行条例」には、「作業場には、営業者及び従事者以外の者を立ち入らせたり、動物等を入れたりしないこと。ただし、営業者及び従事者以外の者が立ち入ることにより食品等が汚染されるおそれがない場合は、この限りでないこと。」と記載されています。

同様に「大阪府食品衛生法施行条例」では、「作業場内に動物を入れないこと。ただし、食品等として作業場内に持ち込む場合であって、食品衛生上の支障がないときは、この限りでない。」とされています。

ここで言う「作業場」とは、食品の加工や調理を行う場所こと。つまり、厨房や調理室に動物を入れるのは禁止されていますが、それ以外のスペースであれば、法律上の規制はないということになります。そのため、看板猫はもちろん、お店側が許可すれば、お客様がペットを連れてくることも、食品衛生法上は問題がないと言えそうです。

②動物愛護法に関するルール

飲食の有無に関わらず、もう一つ考慮しなければならないのが、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」です。この法律では、動物の「販売」「保管」「貸出し」「訓練」「展示」「競りあっせん」「譲受飼養」を営利目的で行う事業者には、種別ごとに「第一種動物取扱業」の登録が義務付けられています。
これらの7つ種別の内、「展示」には動物を見せる業種や、ふれあいを提供する業種が該当。動物園や水族館のほか、猫カフェなどが含まれます。

看板猫のいるお店も、この「展示」に該当する可能性があるため、注意しなければなりません。実際、看板猫がいる温泉旅館などのなかには、展示に対する登録を行っているところもあります。また、宿泊施設で、お客様のペット預かりを行う場合には、「保管」の業種に該当するため、登録が必要です。

登録の申請は、所在地を管轄する自治体の保健所や動物愛護センターに届出を行います。手数料は、各自治体によって異なりますが、1種別につき15,000円前後です。また、登録申請後も5年ごとに登録更新申請が必要となります。

動物取扱責任者の選任

なお、この「第一種動物取扱業」の登録申請の際は同時に、「動物取扱責任者」を選任しなければなりません。動物取扱責任者は独立した資格ではありませんが、下記いずれかの要件を満たす常勤職員を事業所ごとに、専属で1名以上配置することが求められます。

1. 獣医師免許もしくは愛玩動物看護師(令和元年制定の新設国家資格)を取得
2. 半年以上の実務経験もしくは1年間以上の飼養経験を持ち、以下のいずれかに該当

  • 種別に係る知識及び技術について1年間以上教育する学校等を卒業
  • 公平性、専門性のある団体が行った試験により資格等を得ていること

第一動物取扱業の登録をせずに営業した場合には、100万円以下の罰金が課せられることもあります。詳細や気になる点がある場合には、各自治体などに問い合わせるようにしましょう。

お客様への配慮も重要

お店に看板猫を迎え入れるに当たっては、法律面だけでなく、お客様への配慮も重要です。場合によっては大きなトラブルに発展してしまう可能性があるので、十分に注意するようにしましょう。

猫がいることを周知

まずはお店の入り口やウェブサイトに、猫がいることをきちんと明記するようにしましょう。動物のいるお店は、好きな人にとってはたまらない環境ですが、苦手な方も少なくありません。特にアレルギーを持っている人にとっては、重大な健康被害が及ぶ可能性もあります。事前に猫がいると分かるよう、必ず周知を徹底しましょう。

また、看板猫がいるというと、お客様側もペットを連れ込むことができると勘違いしてしまうケースがあります。こうしたトラブルを避けるため、ペットの連れ込み可否についても、併せて明記しておくといいでしょう。

ふれあいに関する注意

しかし、事前に周知を行ったからといって、動物好きなお客様だけが来るとは限りません。猫が苦手なお客様が来店した場合には、お客様にとっても猫にとってもストレスのないような工夫をしましょう。例えば、一時的に猫に別のエリアにいてもらう、リードをつける、などです。

また、見知らぬ大人や子供と接することが猫にとって過剰なストレスにならないか、猫の性格を見極めることも大切です。ストレスからお客様にけがをさせてしまったり、お客様の持ち物を破損させてしまったりすることのないよう、お客様とのふれあいには、細心の注意を払うようにしましょう。

掃除の徹底と病気予防

また、においや汚れに対する処理も重要です。抜け毛や排泄物などの掃除を徹底し、施設内を清潔に保つことは、感染症を防ぐことにもつながります。

中には、猫から人間に感染する「サルモネラ症」や「猫ひっかき病」といった病気も存在します。ワクチンで防げる病気ついては予防接種も受けさせ、しっかり対策を取るようにしましょう。

看板猫とお客様双方にとって快適なお店づくりを!

とってもかわいい看板猫ですが、一緒にお店で働くためには、さまざまな注意が必要です。ルールを守り、気遣いを徹底することで、お客様にとっても動物にとっても、楽しく快適に過ごせるお店づくりをこころがけましょう。