鉄輪の恵まれた温泉環境の元、コロナ禍の従業員を癒し、その効果を検証する「入浴・運動・交流・食事」のプログラムを行いました。前回に引き続き、今回は「交流・食事」のプログラム内容をご紹介します!

「交流」鉄輪ツアー 〜ガイド2名による鉄輪の歴史・文化を巡る旅〜

「別府の一休さん」の別名を持つ、トンチのきいたガイドが有名なIn Bloom Beppu代表花田潤也さんと、温泉利用指導者であり、温泉ソムリエ、温泉マイスターの資格を持つ、塩見恭美さんがサポートガイドとして参加し、鉄輪の見所・知識を案内してくださいました。湯けむり、地獄(噴気)の説明、ひょうたん温泉にある巨大な湯雨竹など、鉄輪温泉の日常と歴史や温泉の成り立ちに触れるツアーを実施しました。
※湯雨竹とは、厳選の鮮度を保ちながら冷却できる、竹製の温泉冷却装置です。

別府の一休さん・花田潤一さんと、温泉利用指導者・塩見恭美さん
<別府の一休さん・花田潤也さんと、温泉利用指導者・塩見恭美さん>

花田さんによる笑顔と熱意、おもしろおかしく語る口調が大人気で、参加者へのクイズも出されたりと、ツアー中は笑顔が絶えない時間となりました。ツアーを通して、参加者の皆さんが笑いやハプニングを共有することで、打ち解け、一体感が生まれていく様子が伝わってきました。地元との出会いを面白そうにされる様子も見受けられました。

花田さんのトンチの効いたガイドに、参加者も興味津々
<花田さんのトンチの効いたガイドに、参加者も興味津々>

ツアーのあとは、湯治宿大黒屋のアウトサイドテラスで体験できる地獄蒸し(温泉の蒸気で食材を蒸していただくもの)を味わいました。参加者のみなさんも実際に地獄で蒸す体験をし、蒸した野菜をつけていただくバーニャカウダに舌鼓をうちました。

今回の参加者・ガイド・スタッフに加えて、別府の宿経営者・大学教授・コワーキングスペース運営代表者など地元のプレイヤーにも参加いただきました。密を避けるために、屋外にスペースを取った形で開催しましたが、それが逆に功となり、参加者同士で仕事の枠を超えた会話を楽しむことができました。改めて、コミュニケーションの大切さを実感する参加者もいて、距離は保ちつつも心はつながっていったように感じます。

温泉の蒸気で蒸す「地獄蒸し」を楽しんで、ツアーは終了
<温泉の蒸気で蒸す「地獄蒸し」を楽しんで、ツアーは終了>

「交流」50度洗いの奇跡

「50度洗い」を聞いたことはありますか?食材には加熱に適した温度があり、野菜も肉も魚も、50度のお湯で洗うことで、まるで生まれ変わったように新鮮になるそうです。そんな50度洗いについて解説してくださったのは、鉄輪温泉にある、冨士屋ギャラリー一也百(はなやもも)のオーナー 安波治子さん。安波さんも日頃から50度洗いを取り入れており、食材がまるで採れたてのように生まれ変わることから、自分自身の顔も50度で洗うようになったとか。50度洗いの洗顔後は、化粧水もいらず、冬もアカギレ・肌荒れ知らずなんだそうです。

50度洗いを日々の生活に取り入れている、安波さん。自身の洗顔も50度洗いだとか
<50度洗いを日々の生活に取り入れている、安波さん。自身の洗顔も50度洗いだとか>

今回は、参加者も実際に50度洗いを体験。しんなりしていた野菜がシャキッとしたり、肉や魚についてた酸化した油がとれ、特有の臭みが消えたり……目に見えて分かる変化に、あちこちから驚きの声が上がっていました。とくに「しじみ」を洗った後の、汚れのにおいに皆さん驚かれていました。「こんなに臭いものを飲んでいたのか!」と驚かれる方もいらっしゃいました。

実際に、参加者も50度洗いを体験
<実際に、参加者も50度洗いを体験>

50度のお湯に通すことで、採れたて野菜のようにシャキシャキに
<50度のお湯に通すことで、採れたて野菜のようにシャキシャキに>

また、源泉温度98度を誇る鉄輪温泉の天然蒸気を使った「地獄蒸し」についても解説いただき、実際に地獄蒸しされたフルーツを使ったジャムを、冨士屋ギャラリー一也百の焼き菓子とともにいただきました。地獄蒸しの特徴としては、100度の高温で一気に食材を蒸すことで、茹でるよりも素材の旨味が凝縮されるようです。そんな、50度洗いと地獄蒸し、両方の良さをふんだんに利用したお店が鉄輪にあるとのことで、その日の夜ごはんは「蒸士茶楼」さんでいただきました。

「食事」蒸気の魔術・汽鍋料理 〜蒸士茶楼〜

鉄輪温泉の蒸気と、50度洗いをふんだんに活用している、蒸士茶楼。前田進一郎シェフは、薬膳や中医学も、自身の料理に取り入れています。今回は「脳疲労・腸内環境に効く」をキーワードに、コース料理を提供いただきました。

今回いただく中華のコース料理
<今回いただく中華のコース料理には、薬膳がたっぷり使われています>

ウェルカムドリンクの、金柑まるごとホットスムージー(気を巡らせ、胃を整える効果)から始まり、50度洗いをしたスッポン汽鍋(肝を補い、腎陰を助ける効果)や地獄蒸しをしたビーフなど、盛りだくさんのメニューを、前田シェフの説明とともにいただく、貴重な時間となりました。

食材や調理法、ひとつひとつにこだわった前菜プレート
<食材や調理法、ひとつひとつにこだわった前菜プレート>

スッポンを使ったスープ
<スッポンを使ったスープには、薬膳もたっぷり>

地獄蒸しした豚ソーキ
<地獄蒸しした豚ソーキは、噛まなくていいほどに柔らかくなっています>

また、食後には、蒸士茶楼を支えている地獄釜(地獄蒸しをする釜)を見せていただきました。蒸気の凄さはもちろん、それを巧みに料理に活かす前田シェフ。参加者の仕事の疲れもほぐれ、腸内環境を意識するきっかけになったのではないでしょうか。

前田シェフ
<薬膳や中医学のことを丁寧にお話くださる、前田シェフ>

地獄釜
<蒸士茶楼を支えている地獄釜>

「食事」100度を超える蒸気による、鉄輪地獄蒸し体験 〜湯治柳屋〜

別日の夜には、湯治柳屋オーナー橋本栄子さんにご準備いただき、温泉の蒸気で食物を蒸す、地獄蒸しをいただきました。

ずらりと並んだ地獄釜、何を蒸すのかワクワク
<ずらりと並んだ地獄釜、何を蒸すのかワクワク>

地獄釜を前に、みなさん楽しそうに体験されていたのが印象的でした。ミネラルを含んだ100度を超える蒸気で蒸すことで、食材の栄養素をそのままいただけることから、腸内環境へのアプローチも期待できます。地獄蒸しを通して、普段の自分自身の「食」についても見つめ直すきっかけになったのではないでしょうか。

野菜や豆腐、お肉も地獄蒸しをすることで、味に深みが出ます
<野菜や豆腐、お肉も地獄蒸しをすることで、味に深みが出ます>

気になる湯治ワーケーションの結果は?

さて、体に優しい食事をいただき体を動かし、こまめに温泉時間を挟んだ4日間。最終日には、初日に行ったものと同様のヘルスチェック&クレペリン検査を行いました。皆さん緊張した面持ちで測定をしていましたが、なんと参加者の大半の方が、運動機能の改善や自律神経バランスの数値が改善傾向にありました!今回、参加者のヘルスチェックを担当された、健康開発財団の後藤康彰医学博士からのコメントをご紹介します。

日本健康開発財団温泉医科学研究所主席研究員 後藤康彰さん
データを観察して印象に残っているのは、「自律神経活動度」が多くの被験者でバランスよく活発化したことです。「自律神経」は、「交感神経」(緊張)、「副交感神経」(リラックス)がシーソーのようにバランスをとりますが、双方に「適度な活発化」が認められたことは、滞在を通じて「脳力を発揮しやすい状態」がもたらされたとも考えられます。また、「身体機能・柔軟性」の向上、「消化器症状」の改善、「気分・精神状態」の改善などが認められていますので、プログラムを組み立て、提供された皆さんの努力がむくわれたと感じましたね。

参加者のインタビュー

「入浴・運動・交流・食事」と、4つのテーマで盛りだくさんのプログラムだった4日間。その中でも、日常業務の生産性が上がるかを試されていたKDDI株式会社の時田さん・岸田さんと、日本郵政の石橋さんにお話をお伺いしました。

KDDI株式会社 時田明典さん(経営戦略本部 KDDI DIGITAL GATE課長補佐)
「用意されていたプログラムをこなしながら、地域に根ざした人々との交流や刺激がありました。普段の仕事では、新サービスの開発において、想像や想定ばかりしており、頭でっかちになる東京での日々を過ごしています。しかし、地域という”現場”を目の前にして、まずは目の前のことをやる、この環境を提供している”現地”というリアル感を大切にしなければならないなと実感したのが衝撃でした。」

KDDI株式会社 時田明典さん(経営戦略本部 KDDI DIGITAL GATE課長補佐)

KDDI株式会社 岸田正吉さん(経営戦略本部 KDDI DIGITAL GATE課長補佐)
「ワーケーションはよくも悪くも環境が変わりますが、ここ(湯治柳屋にご滞在)は在宅勤務と変わらない気持ちで仕事をこなせています。今宿泊している部屋にはベッドルームとは別にデスクルームがあり、オン・オフを1日の中ではっきり分けている自分としては、ここで仕事をしていると気分が変わって良いです。窓から見える景色も東京に比べて美しく、緑が多く、建物が低いこと、仕事をしていても目に見えるものが違うだけでこんなにも変わるんだと実感しました。コロナによってテレワークが増え、人との交流が乏しくなっていたことが原因か、感性が少し弱くなっていることを感じていましたが、こうした風景と現地コミュニティからの刺激、出会いによって感性が高まっていることを感じます。また、鉄輪温泉では気軽に温泉に入ることができるので、身体が軽くなりリフレッシュするのに最適な環境でした。」

KDDI株式会社 岸田正吉さん(経営戦略本部 KDDI DIGITAL GATE課長補佐)

日本郵政株式会社 石橋栄市さん(宿泊事業部次長)
「鉄輪という街全体で、訪問者を受け入れてくれているのを、感じています。旅館やカフェなど、限られた場所のみでのワーケーションではなく、エリア全体でのワーケーションができる街ですね。例えば、仕事に疲れたら近くの共同温泉へ行ったり、商店で店員さんと話すことで交流が生まれたり。コンパクトな街ならではの心地よさがあり、自分自身がリラックスしながら仕事に打ち込むことができました。」

日本郵政株式会社 石橋栄市さん(宿泊事業部次長)

3泊4日の滞在を通して、自分自身の体と心を見つめ直すきっかけになった、鉄輪での湯治ワーケーション。現在、日本全国で様々なタイプのワーケーションが謳われていますが、心の赴くままに温泉に浸かることができて、地域の人たちとの交流を編むことができるのは、鉄輪温泉の特長かもしれません。

リモートワークばかりで人とのコミュニケーションが恋しい方、自分自身の健康が気になる方は、ぜひ一度、鉄輪温泉でのワーケーションを体験してみませんか。

温泉でワーケーションしよう ONSEN WORK

 

ライタープロフィール
橋本明音(はしもとあかね)

橋本明音(はしもとあかね)

群馬県出身。駆け出しの、プロデューサー兼ライター。自分が見て感じたものを、文章やデザインに落とし込むことが好き。趣味は、料理、畑、キャンプ、コーヒー、お酒。インドアもアウトドアも楽しめちゃう人。