「田舎でゆったり暮らしたい」「古民家を使ってお店を開きたい」といった希望を実現する際、ぜひ活用したい「空き家バンク」制度を知っていますか。
国内で約848万件以上ある空き家問題の解決策の一つとして、全国各地の自治体が主体となって運営している制度です。
※平成30年住宅・土地統計調査より

空き家バンクでは、自治体が審査した空き家物件を選べたり、補助金制度を利用できたりします。今回は、空き家バンクの仕組み・利用の流れ、メリット、注意点、補助金制度について解説します。

空き家バンクとは?

空き家バンクとは、全国の自治体などが空き家物件情報をホームページで公開し、「貸したい(売りたい)人」と「借りたい(買いたい)人」をマッチングする制度です。
全国版の空き屋バンクでは、603の自治体において延べ約9,000件以上の物件が空き家バンクに掲載されており、契約につながった物件は1,900件を超えています。
※平成31年2月時点

空き家バンクで家を探すには「利用登録」が必要

実際に空き家物件を探す場合には、自治体ごとの利用方法にしたがって手続きを進める必要があり、まずは空き家バンクに利用登録をする必要があります。

なお、全国版の空き家バンクでは、利用登録無しで物件の検索・閲覧を行うことができます。ただし、全国版には掲載されておらず、自治体でしか検索・閲覧できない物件も存在します。

空き家バンクのおおまかな利用の流れ

空き家バンク利用の流れ

(※自治体により細かな利用手順は異なります)

たとえば沖縄県石垣市の場合、石垣市への移住希望者が「空き家バンク」に利用者登録することができます。希望の物件が見つかったら、市の職員とともに物件の見学を行います。居住を希望する場合は、申請書類を提出し、八重山地区宅地建物取引業者会の管轄で契約手続きを進めていきます。

なお、石垣市では空き家バンクの利用登録に2つの条件を定めています。

  1. 現に石垣市に居住していない者、又は石垣市外から転居した者で転居の日から3年経過しない者
  2. 空き家に3年以上定住することが見込まれ、石垣市の自然環境、伝統文化等に対する理解を深め、地域住民と協調して生活できる者

このように、自治体によっては空き家バンク利用登録の条件を定めており、こうした条件に当てはまらない場合は、空き家バンクを利用できません。

空き家バンクを利用するメリット

空き家バンクの利用には主に3つのメリットがあります。

①自治体審査・運営による安心感

基本的に空き家バンクに掲載されている物件は、自治体の職員が現地調査したうえで審査を行っています。自治体が介入しているため、居住・賃貸契約におけるトラブルのリスクを抑え、安心して利用できるでしょう。

また、多くの自治体で物件の相談・見学を市の職員にお願いすることもでき、移住後の生活について相談をしやすいでしょう。

②補助金を利用できる

自治体によっては、空き家バンクの物件に引越した移住者に対して、補助金制度を用意しています。
たとえば沖縄県石垣市は、物件の改修費用の一部を補助してくれます。補助金交付年度から3年間移住促進に利用することなどが条件ですが、最大で50万円を支援してもらえます。全国の制度については記事後半で触れています。

③費用を抑えて田舎暮らしができる

空き家バンクの物件を選ぶことで、通常の土地購入から建築までにかかる費用を抑えて一戸建てを利用することができます。
全国に空き家物件があるため、できるだけ安く田舎暮らしを実現したい方には親和性の高い制度と言えます。

居住だけでなく、古民家の雰囲気を活かした飲食店・小売店を開業することもできるでしょう。
※開業できる物件は個々の条件によります。

 空き家バンク利用の注意点

便利な空き家制度ですが、利用には注意点もあります。

直接契約によるトラブル

基本的には自治体が介入して申し込みや手続きを進めることとなりますが、地域・物件によっては大家さんとの直接交渉・契約をすることがあるかもしれません。
「前もって聞いていた物件条件と違っていた」「住んでみたら思わぬ欠陥が見つかった」といったトラブルも起こりうるため、直接の交渉や契約をする場合には、注意しておきましょう。

自治体によりサポートが異なる

空き家バンクはそれぞれの自治体が主体となっていることから、そのサポート体制に差が出てきます。
補助金などの制度でしっかりとサポートしてくれる自治体もあれば、移住後の生活について相談できない自治体もあるかもしれません。

空き家バンクの補助金・支援制度

各地域で空き家バンクの物件に対する補助金・支援制度を設けています。
以下では国土交通省と、2つの地域の制度を紹介します。

グリーン住宅ポイント制度|国土交通省

「グリーン住宅ポイント制度」は、高い省エネ性能等を有するなど、定められた条件をクリアした住宅のリフォームや空き家などの購入に応じて「ポイント」を発行する制度です。

実は、空き家バンクの登録物件を購入した場合、一戸あたり30万Ptが発行されます。住宅の除却(解体)をともなう場合は、一戸あたり45万Ptとなります。(1Pt=1円相当)

次の条件などを満たすとポイントの発行対象となります。

  • 物件の購入額が100万円(税込)以上
  • 2019/12/14以前に建築されている
  • 2020/12/15〜2021/10/31に契約を締結
    ※2021/4/1時点

貯まったポイントは、次の2つに利用できます。

  1. 以下に資する商品の購入
    新たな日常/省エネ/防災/健康増進/子育て/地域振興など
  2. テレワークや感染症対策、防災に対応した追加工事

詳しい条件や申請方法は、グリーン住宅ポイント制度の公式ページをご確認ください。

また、グリーン住宅ポイント制度の対象となる自治体の空き家バンクは国土交通省のページから確認してください。

空き家バンクリフォーム補助|栃木県栃木市

栃木県栃木市は、リフォーム工事や家財処分にかかる費用を一部補助する「空き家バンクリフォーム補助」を設けています。

補助率:工事費などの1/2
限度額:リフォーム工事50万円・家財処分10万円

対象者には、「市税などの滞納がない」「補助金の交付から約10年間、物件の維持または居住する」などの条件が定められています。

空き家利用促進奨励金|千葉県南房総市

千葉県南房総市は、空き家の改修工事を行うための「空き家利用促進奨励金」を設けています。

補助率:改修費などの2/3
限度額:200万円

対象者には、「空き家の所有者であること」「市税などの滞納がない」「空き家利用促進報奨金申請をした年から10年間処分せず、空き家バンクに賃貸住宅としての登録を確約すること」といった条件が定められています。

空き家バンクを使って地方移住してみよう!

空き家バンク制度は地方移住・開業を実現するために、便利な制度です。自治体の補助金制度を活用すれば、コストも抑えられるでしょう。
移住先を選ぶ場合には、現地を知る人に相談したり、実際に訪れてみて自分たちに合う地域を選んではいかがでしょうか。

移住先選びでチェックしたい10項目についての記事もあるので、ぜひ合わせてご覧ください。

※掲載情報は2021/5/11時点