クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人からプロジェクト・事業を行う資金を集める方法です。

クラウドファンディングで集めた資金の会計処理は、調達方法により異なります。タイプ別の会計処理方法や注意点について解説します。

クラウドファンディングのタイプ

クラウドファンディングでの資金調達方法は、主に「購入型」「寄付型」「金融型」の3タイプです。

購入型クラウドファンディング

支援者に対して商品・サービスをリターンで提供します。

寄付型クラウドファンディング

リターンなし(もしくは手紙や写真などのリターン)で行います。

金融型クラウドファンディング

金銭的リターンを行います。金銭的リターンは、以下の3つに分かれます。

融資型(貸付型)

クラウドファンディング事業者が、個人投資家からの小口の出資をまとめて企業に融資。企業は支援者に毎月金利を支払う。

ファンド型

出資を受けたビジネスの利益に応じて、支援者に分配金を配る。

株式型

出資を受けた企業の未公開株をリターンとして提供する。

▼参考記事▼
クラウドファンディングとは?実際に行う際の注意点など

タイプによって異なる会計処理方法

クラウドファンディングのタイプによって、受け取った支援金の会計処理方法は異なります。

タイプ 会計処理
購入型 ・通常の売買と変わらない
・支援金は課税対象
寄付型 ・支援者/クラウドファンディング企画者が個人か法人かによって異なる
融資型(貸付型) ・貸付金と借入金で会計処理
・事業の利益は課税対象
ファンド型・株式型 ・法人は損益計算書で収益、個人は雑所得に

購入型は通販と同じ

「購入型」はインターネット上で資金を募り、商品・サービスをリターンするため、一般的な通販と変わりません。「支援金=売上」、「リターン=原価」として扱います。

クラウドファンディング事業者に対して支払う手数料も、経費として処理できます。支援金は、課税対象となります。

ただし、購入型クラウドファンディングを行うのが法人の場合、注意が必要です。法人では法人税の観点から、サービスや製品を「市場価格で売買すること」を原則とします。

クラウドファンディングで提供するのは試作品にあたるので、試作品に市場価格は関係ありませんが、クラウドファンディング直後に一般発売を始める場合、注意が必要です。

たとえば、応援の意味を込めて試作品を高めに1万円に設定し、一般発売価格を7千円とした場合、差額の3千円は寄付となり、「受贈益」として処理する必要があります。

寄付型は法人・個人で異なる

寄付型で、お礼を伝える手紙や写真などをリターンとする場合、原則として商品売買に当てはまりません。

支援する側・される側が、個人・法人のどちらかによって「何費として会計処理されるのか」「どの種類の税金を課せられるのか」が決まります。

支援形態 会計処理
個人が法人に支援 ・受贈益となる
・法人税の課税対象
法人が法人に支援 ・受贈益となる
・法人税の課税対象
個人が個人に支援 ・贈与となる
・贈与税の課税対象
法人が個人に支援 ・一時所得となる
・所得税・住民税の課税対象

個人または法人が、法人に支援した場合

受け取った支援金は、受贈益として処理し、法人税の課税対象となります。

手紙や写真の製作費は、発送した時点で「販売費および一般管理費」として経費処理できます。決算時に発送されていないものは、「貯蔵品」として資産処理します。

なお、10万円未満と少額の製作費なら、未発送分を含め、経費処理して構いません。

個人が個人に支援した場合

個人から個人への支援金は、「贈与」となり、受け取った支援金には贈与税がかかります。ただし、年間の総贈与額が110万円以下の場合、税金処理は不要です。

贈与では、手紙や写真の製作費や手数料などを経費処理できません。

法人が個人に支援した場合

法人から個人への支援金は、「一時所得」となり、所得税・住民税がかかります。一時所得の算出方法は、「総収入金額-その収入を得るための支出額-特別控除(最高50万円)」です。

一時所得は、その所得金額の1/2と、給与所得などの他の所得を足した「総所得金額」から納める税額を計算します。

融資型(貸付型)は通常通り

通常の「貸付金」と「借入金」で会計処理します。

クラウドファンディングで取り組んだ事業から得た利益は、法人で法人税、個人事業主で所得税の課税対象となります。

ファンド型・株式型は新株発行と同じ

「ファンド型・株式型」の場合は、通常の新株発行として会計処理します。法人は損益計算書で「収益」、個人事業主は「雑所得」となります。

ただし、給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える場合、確定申告をしなければならないため、分配金の金額や他の所得を考慮しておきましょう。

クラウドファンディング会計処理の注意点

次に、クラウドファンディングの会計処理における、2つの注意点を解説します。

①消費税の扱い

クラウドファンディングの企画者が、消費税を納税する事業主の場合、消費税を課税されます。たとえば、100万円の支援金は、10%の10万円が消費税となるため、実質90万円の支援となります。

現在、非課税の事業主であっても、クラウドファンディングの支援金と売上の合計が年間で1,000万円を超えると、2年後から消費税を納めなければなりません。

ただし、受贈益として支援金を処理する場合は、非課税となります。

②企画が失敗しリターンできない場合

クラウドファンディングが失敗し、予定していた商品・サービス、金銭のリターンを行えないケースもあるでしょう。
※寄付型はそもそもリターン不要

通常、支援金を受け取った時点ではプロジェクトが成立しておらず、まだリターンを支援者に送っていません。そのため、受け取った支援金は「前受金」として処理します。

成功してリターンする時点で「前受金」から「売上」に振替処理をします。失敗して返金する場合は「前受金」を取り消す処理となり、返金しない場合は「前受金」から「受贈益」に振替えて収入計上処理をします。
※返金については、支援者との事前の取り決めや協議によります。

課税範囲を知った上で資金調達方法を選ぼう

クラウドファンディングで集めた資金も、タイプによっては課税対象となります。また、売上が1,000万円を超えると、課税事業主として消費税を納めなければなりません。

これらを踏まえ、適切なクラウドファンディングの資金調達方法を選び、正しい会計処理を行いましょう。

監修:合同会社ハートコムF&A
中小企業や個人事業主の方々の右腕となるべく、日々の記帳処理から決算支援、起業・資金調達支援、給料等総務関連といったバックオフィス業務全般を柱に、各種経営・税務アドバイス、コンサルティング業務を受託。