地方移住で重要なことの1つが、生活の基盤となる仕事選びです。
長く心地よく住み続けるためには、自分の経験や希望にあった仕事を探す必要があるでしょう。

ただ、「地方は仕事が少ない」といったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。今回は、地方と都市部の求人数について紹介しつつ、地方での具体的な仕事選びの方法について解説します。

本当に地方は仕事が少ないのか?

そもそも、仕事が少ないとイメージされがちな地方ですが、実際に少ないのでしょうか?
全国の有効求人倍率をもとに解説します。

有効求人倍率とは?

有効求人倍率とは、1人あたり何件の求人があるかを数値化したものです。
たとえば、求職者100名に対して求人200件があると、「200÷100=2.0倍」と算出されます。倍率が1.0を超えて高くなればなるほど就職しやすく、倍率が1.0未満で低くなればなるほど就職しにくくなります。

有効求人倍率の動向

国内の有効求人倍率は、2008年のリーマンショックで0.42まで落ち込んだ後、回復を続け、2019年に1.64と比較的高い水準を保ってきました。
しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響で企業が採用を控えたこともあってか、全国的に求人数が減り、10月には1.04を記録。今後コロナウイルスが収束すれば、景気の回復とともに有効求人倍率も伸びていくかもしれません。

地方にも仕事はある!

「地方より都市部の求人数が多い」といったイメージを持っているかもしれませんが、実際にはどの程度の違いがあるのでしょうか。
地方と都市部での差を比べてみると、2021年2月時点では、以下の倍率となっています。

※地方の県は、都市部を除いた移住先人気ランキングの上位から選んでいます。

全国平均 1.09
東京都 1.19
大阪府 1.16
宮城県 1.22
愛知県 1.09
福岡県 1.01
長野県 1.19
静岡県 1.00
北海道 0.86
山梨県 1.00
新潟県 1.21

新型コロナウイルスの影響を受け、全国的に有効求人倍率は高くない印象を受けます。
また、表を見てわかる通り、都市部だから求人数が多い、というわけでもなさそうです。

「仕事が見つけにくい」という現実

では、実際に移住先の地方で仕事を探す場合、どういった壁にぶつかるのでしょうか。

株式会社 野村総合研究所の調査では、「UIJターンを伴う転職における課題」という質問に対する回答は、多い順に「賃金収入の低下・不安定化」、「就職先が見つけづらい」、「移住に伴う生活基盤の確立」という結果でした。

※「UIJターン」とは、進学や就職等で都市部に移り住んだ人が、その後、ライフステージに合わせて故郷や地方に引っ越すこと。

さらに、就職先を見つける際の課題についての回答は、「候補となる就職先の情報がない/集められない」、「年齢の制約」、「転職先の労働条件が不明確」の順に多くなりました。

この調査結果から地方に仕事があるにもかかわらず、求職者が就職先の情報を得られていないという課題が浮き彫りになっています。
求職者が積極的に情報を集めることが、自分に合う仕事と出会うことにつながると言えるでしょう。

仕事の見つけ方

では、具体的な仕事の見つけ方について解説します。

一般的な企業を探す

まずは、地方企業の求人を探す方法です。地方企業の求人を探す主な方法は、ハローワークや、自治体の斡旋を利用する方法です。
その他、気に入った企業のホームページから直接応募したり、転職サイトで全国の求人から探すこともできます。

転職エージェントを介す方法もありますが、仲介手数料を企業が取られるといったケースもあるため、直接応募する方が好まれることも。希望の仕事が移住先にない可能性もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

農業/林業/漁業に携わる

次に、地方の一次産業に携わって生計を立てる方法です。
働き手の少ない地方では、農林漁業の新規就業者の積極的な受け入れを行っています。まずは就職をして経験を積みながら、いずれは自営業者として独立するのもよいでしょう。

一次産業には、自然のなかで体を動かしながら働けるという魅力があります。
学歴やキャリアに関係なく始められる場合が多く、工夫次第で事業を広げ、稼ぐこともできるでしょう。

一方で、まずは下積みを重ねる必要があったり、独立する際には機材・設備の初期費用がかかったりします。また、売上が天候などの影響を受けやすく、不安定な一面もあります。働くスタイルによりますが、体を動かすため体力も必要です。

農林水産省が運営する「あふてらす」では、農林漁業および6次産業化についての情報をまとめています。就業するまでのステップや求人が網羅されているため、参考にしてみてください。

全国新規就農相談センターの「農業をはじめる.JP」、全国森林組合連合会の「緑の雇用 RINGYOU.NET」、全国漁業就業者確保育成センターの「漁師.jp」でも、それぞれ詳しく解説しています。

地域おこし協力隊として働く

「地域おこし協力隊」とは、総務省から賃金を受け取りながら、地方で地域おこしに取り組み、定住できる制度です。

各自治体で募集を受け付けており、任期は1年〜3年未満です。総務省は、令和元年度で約5,500名が活動していることから、令和6年度までに8,000名に増やす目標を掲げています。

地域おこしに携わるため、地域とのつながりをしっかり持つことができ、収入を得ながら移住の準備に役立てられます。
任期後、その地域で起業を行う場合には、100万円の支援を受けることもできます。

移住からいきなり起業を目指しても、一人でできることは限られています。地域おこしを通じて、しっかり基盤を築いた上でチャレンジする方が成功の可能性は高まるでしょう。

一方で、隊員が地域との相性や、地域おこしの適性に欠けると、定住につながらないケースも。地域おこし協力隊は、マニュアルがない中で課題解決を進める主体性と能力を求められます。

独立・起業する

地方移住後に、フリーランスや経営者として働く方法です。特にIT系のフリーランス(デザイナー、ライター、エンジニアなど)は、インターネットを介して案件を受注することで、地方在住でも都市部の企業と取引ができます。
すでにフリーランスとして働いている人は、都市部で培ってきた経験を生かし、地方に移住後もフリーランスとして働くという選択肢もあります。

地方で起業をする場合は、地方の資源を活かしたビジネスモデルで事業拡大を目指せることが、魅力の一つと言えるでしょう。前述したように、地域おこし協力隊から入り、まずは地域の魅力や課題を学ぶことから始めてみるのもおすすめです。

独立・起業は、会社から雇われず自分の裁量で働ける点は魅力的ですが、安定した収入を得られないという一面も。
引っ越しという環境変化とともに新たなビジネスに挑むと、必然的にハードルも高まります。移住と同時に起業する場合は、しっかりとした事前準備が必要になるでしょう。

仕事を決めてから移住しよう!

移住後に仕事を探すとなると、はじめるまでに時間がかかります。その期間、収入を得られない焦りから、自分の希望にそぐわない仕事に就いてしまう可能性も。
地方生活を楽しむためにも、移住前に仕事をしっかりと決めてから、移住を行いましょう!