土地はあるけれど、運用に予算や労力はかけられない…という場合に検討されやすいのが、駐車場の経営です。土地活用の代表的な方法である「賃貸住宅経営」に比べると初期投資や管理にかかる費用が少なく、安定した運用を行うことができると言われています。駐車場オーナーとして知っておくべき基本的なポイントについて見てみましょう。

駐車場経営のメリット

駐車場経営のもっとも大きな特徴は、建物を必要としないことです。そのため賃貸住宅経営などに比べて、低コストかつ低リスクというメリットがあります。

初期費用をおさえられる

まず住宅建設やリフォームのような大規模工事が必要ないため、初期費用をおさえることが可能です。運営を専門業者に委託する場合、駐車場の機器・看板類の設置費用を専門業者が負担してくれるケースも。その場合は、土地さえあれば初期費用をかけずに運用をスタートさせることができます。

事業開始・撤退が容易

事業開始までの準備期間の短さも魅力的です。賃貸住宅を新規に建てるには工事に数ヵ月から1年近くかかってしまうこともありますが、駐車場の工事なら1ヵ月もかからずに営業を始めることが可能。必要な設備も限られているので、準備も手軽です。同様に、何らかの事情で事業から撤退する際もコストや労力をかけずに済みます。

また、賃貸住宅の普通借家契約では、正当な事由がない限り貸主から解約することができませんが、駐車場は契約書に従って解除ができるため、撤退が容易です。つまり、期間をあらかじめ限定しての運用にも好都合。将来的に、更地に戻して土地を転用することができます。

狭い土地でも有効活用できる

さらに駐車場は自動車が停められるスペースさえあればいいので、面積の狭い土地でも運用可能です。建物を建てられない小さな場所や変形した土地であっても有効に活用することができます。

駐車場経営のデメリット

このように低リスクで手軽な駐車場経営ですが、その分デメリットもあるので注意しましょう。

収益性が低く、低リターン

まず低リスクである反面、リターンも低い点が挙げられます。他の不動産経営と同様、収益は立地条件や周辺環境によっても大きく左右されますが、そもそも同じ面積の土地でも駐車場料金として設定できる金額および収入は、賃貸住宅の家賃などに比べ、ずっと小額です。

そのため他の手段に比べて収益性が低く、キャピタルゲイン(土地の値上がり)狙いなどでなく駐車場経営のためだけに新たに土地を購入するのには、リスクが伴います。

税金の軽減措置がなく、節税効果がない

さらに駐車場経営には固定資産税と、場所によっては都市計画税がかかります。一方で、賃貸住宅のような軽減措置や特例がほとんどありません。それどころか固定資産税は住宅用地の数倍になってしまうと言われています。

減価償却で費用に計上できる金額も少ないため、所得税の負担軽減や節税対策としての効果はほとんど期待できません。

防犯・事故対策が必要

また業者に委託せず自分で管理を行う場合、特に意識しておきたいのが、駐車場内での事故や犯罪のリスクです。駐車場は通常、無人での管理となるため、部外者の侵入も容易です。そのため車や設備の破損、盗難、車上荒らしといった事故や犯罪が起きた場合、原因を解明するのが困難になってしまいます。

部外者の立ち入りを禁止する看板や張り紙など出しておくのはもちろん、車のナンバーやドライバー、車種が特定できるよう、防犯カメラを取り付けるのもおすすめです。直接的に管理責任まで問われる可能性は低いと思われますが、対策が不十分だと契約者との間で大きなトラブルに発展する可能性もあります。夜間や悪天候でも使用が可能な屋外用の防犯カメラを挿入するなど、できる限りリスクを避け、安心して経営ができるよう、しっかりした対策を取るようにしましょう。

屋外用防犯カメラ

駐車場のタイプと経営方法

実際に駐車場を経営する場合、運営方法にはいくつかのタイプがあります。大がかりな立体駐車場や機械式のタワーパーキングなどは除き、個人に適した形態は主に2つ。「月極駐車場」と「コインパーキング」です。それぞれ立地などの条件によって、向き不向きがあります。

月極駐車場の特徴

月極駐車場は利用者と1ヵ月単位で賃貸契約を結ぶ、月額制の駐車場です。立地条件としては住宅街に適しています。各駐車スペースさえ区画されていれば、アスファルト舗装せず、砂利敷きでも営業できるため、初期費用をおさえて始めることができます。

経営は自分で行う以外にも、不動産会社などに相談する方法もあります。業者への委託方法は2つ。1つは「管理委託方式」で、一般的には賃料の約5~10%を委託料として支払い、契約者募集や賃料回収、管理運営、トラブル対応などを担当してもらう方法です。

もう1つは「一括借上(サブリース)方式」で、駐車場を管理業者に貸し出し、すべての運営を任せる方法です。賃料として売上や稼働率に関わらず、契約した一定額の賃料が業者から毎月支払われます。管理委託方式よりも手数料はかかりますが、安定した収入を得られる仕組みです。

コインパーキングの特徴

コインパーキングは不特定多数の利用者から、時間制で料金を徴収する時間貸しの駐車場です。市街地やオフィス街、駅の近くなど利便性の高い場所に向いています。

自己経営も可能ですが、精算機やロック板などの専用設備が必要な上、売上の変動が大きいため、コインパーキング会社に委託するのが一般的。業者に土地を賃貸することで、手数料を差し引いた一定額の地代を毎月受け取ります。多くの場合、実際の売上や稼働状況は反映されず、安定した収入を得ることができます。

また経営に必要な初期費用および施行から清掃やトラブル対応、撤去時の工事に至るまで、実際の運営管理をすべて業者に任せるため、オーナーの負担が非常に少ないのが特徴です。

余った土地があれば検討を!

この他、近年では『akippa』や『軒先パーキング』といった、無料で始められるウェブ登録制の駐車場シェアリングサービスなども展開されています。希望した日時だけネット上で貸し出し予約を受け付けることが可能なので、気軽に空きスペースを活用することができます。

このように駐車場経営は、低コストかつ低リスクで始められる安定した土地の活用法です。余っている土地はあるけれど、賃貸住宅経営は難しいという場合には、検討してみることをお薦めします。

監修:星野陽子(ほしの・ようこ)

投資家。著者。特許翻訳者。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。ユダヤ人の義父から不動産投資を学び、投資物件(7億円)などの資産を築いた。著書に「ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣」「貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法」がある。