会社員とフリーランスでは、対象となる公的年金が変わります。保険料や受給額等の違いを理解し、必要に応じて対策を打っておきましょう。今回は、年金制度の概要やフリーランスが利用できる年金制度について解説します。

そもそも年金制度とは?

年金制度とは、主に老後の生活費を確保することを目的とした制度であり、大きく「公的年金」と「私的年金」に分かれます。

公的年金は、国が管理・運用している年金制度です。このあとご説明する「国民年金」「厚生年金」が、それにあたります。

私的年金は、公的年金に上乗せして給付を保証する制度です。このあとご説明する国民年金基金や、企業年金、保険会社が販売している個人年金などが、それにあたります。

国民全員に関わりがあるのが「公的年金」

個人が任意で加入する私的年金に対して、加入が義務付けられるなど、私たちの生活から切り離すことができないのが、公的年金です。公的年金には2つの種類があります。

①全国民加入義務「国民年金」

20歳以上60歳未満の全国民に加入義務のある年金制度です。原則として、40年間年金を納め、65歳から年金を受け取れます。

②組織に雇用される人のみ「厚生年金」

会社員や公務員など、組織に雇用される人が、国民年金と併せて加入する年金制度です。

フリーランスと会社員とでは加入する公的年金が違う

実は、フリーランスと会社員とでは、加入する公的年金が異なります。それにより、将来受け取れる年金の金額も異なります。

フリーランスは国民年金のみに加入

会社員はほとんどの場合、「国民年金」と「厚生年金」の両方に加入します。しかし、フリーランスは国民年金への加入のみで、厚生年金に加入することはできません。
ちなみに厚生年金の保険料は、雇用主が半額を負担してくれます。

国民年金 厚生年金
会社員 加入義務あり 加入義務あり
雇用主が保険料を半額負担
フリーランス 加入義務あり 加入できない

フリーランスは会社員に比べて年金受給額が少ない!

国民年金と厚生年金、2つの年金制度に加入している会社員に対して、国民年金のみ加入のフリーランスは、年金受給額が少なくなります。厚生年金の受給額分が、そのまま差となります。

具体的な数字をみてみましょう。厚生年金の受給額は、納めた「年数」と「金額」で決まります。
たとえば、「20年間加入、年間で約30万円」を納めた場合、約55万円を年間で受け取れます。65歳から85歳までの20年間受け取った場合、約1,100万円の差となります。

算出方法は複雑ですが、日本年金機構の「年金見込額の試算」で予測できます。
※登録・ログインが必要です。

フリーランスが他に利用できる制度

厚生年金に加入できず、公務員や会社員に比べて受け取れる年金額が少ないフリーランスですが、老後の備えとして活用できる制度がいくつかあります!
それが私的年金制度です。ここからは、フリーランスが利用できる制度を、いくつかご紹介します。

①国民年金基金

国民年金基金は、国民年金に重ねて加入でき、受給額をプラスできる制度です。
公的年金制度で会社員と比べて受給額が少なくなるフリーランスに配慮し、平成3年に設けられました。掛け金(口数)や保証制度の異なる7種類のタイプから選んで加入できます。

41歳で加入して終身年金「A型」を4口分選択した場合

以下の表を参考にすると、月々の掛け金は26,670円(=13,335円×1口目+4,445円×3口分)で、受け取れる年金の月額は30,000円(=15,000円×1口目+5,000円×3口分)となります。

国民年金基金の掛け金と受給額の表

引用元:掛金月額表|国民年金基金

以下が制度のメリット・デメリットです。

メリット デメリット
・掛け金を全額所得控除でき節税に役立つ
・亡くなるまで受給できる「終身年金」
・掛け金を少なく始められ、増減も可能
・一旦加入すると自己都合でやめられない
・国民年金基金で、将来受け取れる年金額が確定しているため、インフレに注意
・付加年金制度との併用は不可

終身年金で受け取りの期限がなく、掛け金を変更しやすいのが魅力的です。
一方で、この後説明する「付加年金制度」との併用はできず、自己都合で解約できないため、注意が必要です。

②付加年金制度

現状の掛金にプラス月額400円を支払って、年金の受給額を増額できる制度です。
「200円×保険料を納付した月数」で、付加年金額(通常の国民年金に上乗せして受け取れる年金額)を算出できます。

35歳から60歳まで25年間(300ヶ月)保険料を支払った場合

支払う保険料の総額は12万円(=400円×300ヶ月)で、上乗せされる年金受給額は6万円/年(=200円×300ヶ月)となります。

この場合、受給開始後約2年間で支払った保険料総額分12万円(400円×300ヶ月)が戻ってきて、以降毎年6万円を国民年金に上乗せして受け取れます。
大まかな計算ですが、「2年間で元が取れる」と言えるでしょう。

なお、国民年金基金の加入者は、そもそも「国民年金基金に付加年金分が含まれている」ため、別途、付加年金制度に加入することはできません。

将来設計のために今できることを!

会社員とフリーランスの年金制度の違いについてご理解いただけたでしょうか。将来の年金受給額に不安がある場合は、今からできることをはじめましょう。

フリーランスの健康保険について知りたい方は以下の記事もご参照ください。

▼参考記事▼
健康保険料を節約!個人事業主(フリーランス)の選択肢とは?

※掲載内容は2021/3/22時点