美容室の開業資金として利用できる貯金が300万円しかない場合、美容室開業はできるのでしょうか。開業資金の調達方法には主に貯金と融資がありますが、「自己資金が少ないが独立したい」と考えている方に向けて、美容室開業にかかる費用の相場や融資を受ける方法についてご説明します。

美容室開業資金の相場は?

美容室を開業するために必要な資金は、店舗物件の立地などによって大きく異なります。しかしある程度の相場がわからなければ、開業時期や用意すべき金額も決めにくいでしょう。

日本政策金融公庫ではこれから美容業をはじめる方向けに、創業時にかかった費用についてのアンケート結果を公開しています。

    • サロン開設費用:合計940万円
    • サロン開設資金の調達額:合計1,031万円(どちらも、開業のために店舗用の不動産を新たに購入した企業を除く)

このアンケート結果を見ると、サロン開設にかかった費用よりも、準備資金のほうが100万円ほど高くなっていることがわかります。

調達資金額を開設費用が上回った場合いきなり資金繰りに困ることになりますから、この結果は当然と言えるでしょう。またオープン直後は売上が安定しないため、運転資金の他に自分や家族の生活費も確保する必要があります。100300万円程度の余裕は持っておくと安心でしょう。

またサロン開設費用についても、アンケート結果には比較的費用を抑えられる居抜き物件や自宅を店舗として利用するオーナーも含まれると考えられます。そのため一般の物件を借りて新たに開業する場合は、より高額の費用が必要になる可能性があります。

相場を知るとともに、自分の場合はどのくらいかかるのかについて、条件や希望する地域の店舗の賃料を調べてみることが大切です。

各種費用の内訳シミュレーション

美容室開業にはさまざまな費用がかかります。目安として、日本政策金融公庫が公表している平均値を見てみましょう。なおこの平均値は、不動産を購入した企業については含まれません。

内外装工事

美容室開設にかかった費用の内訳のうち、もっとも高額なのが内外装工事です。平均値は476万円で、すべての開設費用の50.6%を占めています。

 機器・什器・備品など

設備にかかる費用の平均は197万円です。これは全体にかかった費用の21.0%。美容室はシャンプー台など特殊設備を要する業態ですので、ある程度の設備投資が必須です。

運転資金

開設時にかかった費用で3番目に多いのが、運転資金。平均は150万円で全体の16.0%を占めます。開業直後は資金繰りが安定しませんから、余裕を持った運転資金が必要です。

日本政策金融公庫の調査によると、開業後軌道に乗るまでにかかった期間でもっとも多いのが「1年超2年以内(33.8)」でした。また「軌道に乗せるまでに1年以上かかった」と答えた企業は64.8%にも上ります。

十分準備をしたうえで開業しても、安定した収益を上げられるまでには長い期間が必要だと考えておきましょう。

テナント賃借費用

美容室のテナント代金は平均104万円で、全体の11.1%を占めます。ただしこれはあくまでも平均値。不動産を購入した企業が平均から省かれているため、やや低めに出ている可能性もあります。

テナントにかかる費用は、賃貸料の9ヵ月~12ヵ月分ほどの場合がほとんど。エリアにもよりますが月額賃料が20万円の場合、平均値の2倍ほど必要になるケースも十分あり得ます。

営業保証金・FC加盟金

FCとして美容室を開業する場合の加盟金などです。平均は13万円ですが、これはFCに加盟するかどうかで大きく異なる部分です。

参考:創業の手引+ 日本政策金融公庫

日本政策金融公庫の融資を受けるメリット

日本政策金融公庫には、美容室の新規開業時に利用できる融資制度が複数あります。これらを活用することで自己資金不足を補いましょう。

日本金融公庫の調査によると、美容室を開設したときの資金調達先のうち、自己資金は平均268万円。これは合計額の26.0%に過ぎません。つまり自己資金が300万円でも、融資などを活用すれば美容室開業は十分可能なのです。

日本政策金融公庫で融資を受けるメリットについて見てみましょう。

開業前でも融資が受けやすい

日本政策金融公庫には、新しく事業を起こす経営者向けの融資制度が複数用意されています。

通常、融資は事業の経営状況を見て審査が行われるため、開業前の融資は受けにくい場合が多いです。しかし日本政策金融公庫は公的な政策金融機関ですから、開業前であっても十分なサポートを受けられます。

開業前に利用できる日本政策金融公庫の融資制度には、次のようなものがあります。

名称

対象者

融資額

新創業融資制度

新たに事業をはじめる人、事業開始後税務申告が2期終わっていない人

3,000万円(うち運転資金1,500万円)

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性・35歳未満・55歳以上の新たに事業をはじめる人、事業をはじめておおよそ7年以内の人

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

新規開業資金

新たに事業をはじめる人、事業をはじめておおよそ7年以内の人

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

再挑戦支援資金

(再チャレンジ支援融資)

廃業歴がある人などのうち、新たに事業をはじめる人、事業をはじめておおよそ7年以内の人

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

利率が低い

日本政策金融公庫の融資の利率は、利用者の状況や利用する制度によって異なります。しかし、比較的利率の高い無担保・無保証の「新創業融資制度」を利用する場合でも、基準利率は2.56%~2.75%と低く設定されています。

金利は返済負担を大きく左右する問題です。低金利であればあるほど合計の返済額を軽減できますから、日本政策金融公庫の融資には大きなメリットがあるでしょう。

担保・保証人不要の融資がある

前述した日本政策金融公庫の融資制度のうち、「新創業融資制度」は担保も保証人も不要です。

それ以外の制度についても、担保や保証人は必須ではありません。「応相談」となっていますから、担保や保証人が用意できない方でも利用できる可能性はあるでしょう。あきらめずに、まずは日本政策金融公庫の窓口へ相談に行ってみましょう。

公庫から融資を受ける方法と注意点

日本政策金融公庫で融資を受ける際は、創業計画書の提出や面談が必要です。この計画書の内容が曖昧であったり、矛盾する受け答えがあったりすると、融資が受けられない可能性があります。

「なぜ創業したいと考えているのか」や、これまでの事業経験・資金計画・売上見込みの算出根拠など、提出する創業計画書の内容をしっかり説明できるようにしましょう。

なお、この創業計画書には家賃を書く欄もあります。日本政策金融公庫の融資は具体的な出店地が決まっていないと受けられません。なぜならどこに出店するのかが決まっていないと、具体的な創業計画を立てられないからです。

「なんとなく1,000万円くらいあれば足りるだろう」といった曖昧な考えではなく、具体的な計画を練ってから相談に行きましょう。

創業計画書のサンプルはこちらです。

なお、申込から融資の実行までには3週間程度かかります。状況によってそれ以上かかることもあるので、余裕を持って申込や相談に行きましょう。

融資を受けたら具体的な準備を進めよう

融資が完了したあとは、美容室オープンに向けて具体的な準備を進めていくことになります。このとき忘れずに行いたいのがインターネット回線の申し込み。インターネット回線の開設工事にはある程度時間がかかりますから、早めに手配しましょう。

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