株式会社や合同会社を作るときに必要となる「資本金」。よく耳にする言葉ですが、その金額が「何を意味するのか」「何に使われるのか」など知らない人もいるでしょう。

実は資本金を集めることで、企業の信用力を高めることができたり、特定の業種において開業の条件をクリアできるといったメリットがあります。その一方で、資本金が多いことで、創業間もない企業はかえって税金が多くかかることもあります。

今回は、資本金の定義やメリット、設定の基準、増資方法について解説します。

資本金って何?

そもそも、資本金の定義や役割とは何でしょうか。

資本金とは「企業の体力」を表す

資本金とは、会社が設立時に持っている運転資金のことです。創業者の自己資金や、株主から集めた資金を合算したものです。株主は、その企業が成長することを期待し、将来的に配当を受け取るために株式を購入します。

企業はこれらの資金を創業期の運転資金に充てたり、新たな事業の立ち上げに投資することでビジネスを成長させていきます。資本金が多ければ、技術開発のために高価な設備を購入できたり、たくさんの人材を雇うこともできます。
言い換えるなら、資本金は「企業がお金の面でどれだけ戦える体力があるか」を表す指標とも言えるでしょう。

しかしながら、実際には創業間もない企業は売上や実績に乏しく、いきなり株主から資金を集めることは難しいため、創業者の自己資金でまかなうことが一般的となっています。

資本金が多いことのメリット

資本金は1円からでも設定することができますが、「企業の体力」と表した通り、金額が多いと基本的にメリットを享受しやすくなります。
主には以下4点のメリットを挙げられます。

・ビジネス規模拡大のために投資できる
・企業の信用力が高まる
・金融機関から借入をしやすくなる
・開業の条件をクリアできる

・ビジネス規模拡大のために投資できる

事業を発展させるためには、多くの場合で先行投資が必要となります。
たとえば、新しいサービスを開発するプログラマーを雇ったり、製品の生産性を高める機材を買ったりと、とくに創業時には何かと物入りになるでしょう。
資本金があれば、先行投資に必要なお金をカバーすることができます。

・企業の信用力が高まる

資本金を創業者だけでなく、株主から調達できていると一種の評価につながります。
「株主からたくさんの資本金を集めている」ということは「ビジネスが成長すると期待されている証拠」と捉えることができるでしょう。そのため資本金が大きくなるほど、その企業の信用力は高まると言えます。

・金融機関から借入をしやすくなる

こういった信用力が高まることで、審査の厳しい金融機関から資金の借入をしやすくなります。資本金が多いほど、より資金を集めやすくなるかもしれません。

もちろん、資本金だけで会社の評価がすべて決まるわけではありません。業種業態によって、標準とされる資本金は異なります。たとえばお弁当屋と工業用の部品工場では、必要な設備の規模も異なってくるため、一概に言うことはできないでしょう。

・開業の条件をクリアできる

事業内容によっては「一定額以上の資産を持っていないと開業できない」といった条件が定められています。
たとえば国内の募集型企画旅行を扱う「第2種旅行業」を開業する場合は、700万円以上の基準資産額が必要になります。
(※正確には、基準資産額=資本金ではなく複雑な計算が必要となります)
こういった開業における資金面の条件をクリアすることもできます。

資本金を設定する基準・注意点

資本金が多いと得られるメリットがある一方で、資本金は「多ければ多いほどいい」というわけではありません。取り扱いの注意点を理解したうえで運用していきましょう。

資本金額はいくらから設けられる?

事実上は資本金1円で株式会社および合同会社を作ることができます。
しかしながら1円の資本金では運転資金に充てたり、対外的な信用を得るには乏しい金額であるため、事業内容に応じてまとまった資本金が必要となってくるでしょう。

資本金はいつ、何に使う?

資本金は、事業のためになら基本的にいつ、何に使っても構いません。
特別な制限が設けられておらず、ビジネスのためなら自由に使うことができます。

もし会社の資金が登録している資本金の額を下回っても問題はありません。もちろん、やみくもに資金を投じてしまっては利益を継続的に出すことが難しくなるため、計画的に運用していきましょう。

資本金額で税金を免除できる?

創業2年以内の企業は、資本金を1,000万円未満に抑えることで税金が免除されます。

企業は「消費税」を納めなければなりません。しかし、期首時点で資本金が1,000万円未満の企業であれば、1期目および2期目については、消費税の納付は最大2年間免除されます。
ただし、2期目は前期の期首〜6ヶ月間以内の売上高および人件費の2つの条件も加わります。(2つが1,000万円を超えると、消費税は免除されません。)

また、企業は「法人住民税」として資本金に応じた税金を地方自治体に納めます。たとえ赤字であっても一定額を納めなければなりません。
「従業員50人以下」かつ「資本金1,000万円以下」であれば、最も低い7万円の納付額となります。

資本金を増やす方法

資本金は、開業してから主に3つの方法で増やすことができます。
増資には「公募増資」「株主割当増資」「第三者割当増資」の3種類があります。

①公募増資

公募増資は、新たに株式を発行して一般の投資家に買ってもらい、資本金を集める方法です。
証券市場で誰もが購入できるため、多額の資本金を集めやすいことが特長です。
しかし、新株を発行すると一株あたりの価値が下がるため株価も下がる可能性があります。

②株主割当増資

株主割当増資は、これまでに株式を購入した株主に新株を買える権利を与え、資本金を集める方法です。株主の構成や持ち株の割合を変えずに資本金を集められます。
しかし、割り当てられた株主に買ってもらえない場合には、株主間で課税関係が生じることがあります。

③第三者割当増資

第三者割当増資は、ある第三者を指定して新株を購入してもらう方法です。第三者には、親会社や自社の役職者、取引先などを指定する場合が多いため「縁故募集」とも呼ばれます。資金調達はもちろん割当先との連携強化を図る目的でも使われます。既存株主の持ち株比率が下がるため、注意が必要です。

モノを資本金に換算することもできる
上記①~③は金銭による出資ですが、モノを「現物出資」として資本金に計上することもできます。モノには自動車や不動産、有価証券、機械、パソコンなどさまざまな種類が当てはまります。

資本金に金銭を入れず、モノだけを出資して会社を作ることも可能です。
(ただ、一定の場合を除き、財産の評価につき、裁判所選任の検査役による調査が必要で、費用や時間もかかります。)

計画的に資本金を設定しよう

資本金のメリット・デメリットを踏まえ、事業を安定的かつ成長的に保てるよう運用をしていくことが重要となります。
また、資本金だけでその企業の価値を評価することは難しく、「資本金が多ければ良い」と単純に判断できないことも理解しておきましょう。