世の中には、手に取り切れないほどたくさんの商材が溢れかえっています。その中には、とっておきともいえるような優良品が埋もれていますが、見つけるのは至難の技。「本当に優れた商品を教えてくれる、眼識のある人が知り合いにいればいいのに」と思ったことはありませんか?

その役割を買って出てくれているのが、Facebookページ「タカとケイコの食&旅チャンネル」を運営する北村貴さん(以下、タカさん)と岡田慶子さん(以下、ケイコさん)。

「タカとケイコの食&旅チャンネル」とは何か、なぜふたりが同チャンネルを始めるようになったのか、などについて話を聞きました。

タカとケイコの食&旅チャンネルとは?

「タカとケイコの食&旅チャンネル」は、Facebookページに作られたコミュニティ。食と旅を愛するタカさんとケイコさんがナビゲーターとなり、日本全国の本当においしいものや価値あるものを紹介するチャンネルです。

タカとケイコの食&旅チャンネル

「チャンネル」と聞いて、すぐに思い浮かぶのはテレビのチャンネルですよね。テレビが番組を配信するように、同チャンネルでも番組を配信しています。番組で紹介しているのは、タカさんのお眼鏡にかなったごくわずかな商品です。

配信を開始したのは2020年4月26日。北海道白糠町にある「チーズ工房 白糠酪恵舎」が作るチーズやミルクジャムなどの紹介が1回目となりました。

コロナ禍で行き場のなくなったよりすぐりの食品を知ってもらいたかった

タカさんとケイコさんが、同チャンネルを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

タカさんは「コロナ禍で行き場のなくなってしまった生乳の廃棄を止めたかった」と語ります。「地元北海道では酪農が盛んですが、休校になったことで給食がなくなり、生乳の行き場がなくなってしまいました。それなら、その生乳を利用しているチーズ工房を応援すれば、生乳の廃棄量が減るのでは?と思ったんです」

ケイコさんも、「わたしは見たことがないんですが、生乳を廃棄する時って、食紅で色を着けて『これは廃棄品ですよ』と明確にするんだそうです。想像したら、かなりショッキングでした」と想いを語ります。「タカさんが“タカの目”で選んだチーズ工房なら間違いない。それで一緒にライブショッピングチャンネルを立ち上げよう、と思い至ったんです」

もともと、小規模ながら優れた加工食品を作っている人たちを応援したいと考えていたタカさんにとって、コロナ禍がその想いにさらに火を着けたというわけです。

生まれるべくして生まれたライブショッピングチャンネル

ここで、タカさんとケイコさんのバックグラウンドを紹介しましょう。

タカさんこと、北村貴さんは北海道出身。東京で石油メーカー、人材派遣会社、マーケティング会社に勤務した後、インターネット専業のマーケティング会社の設立に参画。2003年にUターンし、楽天市場に「北のフードソムリエ」というECショップを開業。ここから食に携わるようになります。

その後、食とローカルのマーケティング活動の母体として価値あるものを認めてくれる層を探した結果、料理教室に行き当たり、料理教室のネットワークが構築されていきました。そして、現在では400件ほどの料理教室やシェフたちとつながっています。

ケイコさんこと岡田慶子さんは、CSTVでのオーガニックコスメのショップチャンネル出演経験者。「自分で『いいな』と思ったものを人にもすすめたくなるインフルエンサー気質があるんです」と自分のことを分析します。

そのうえ、司会進行が得意。テキストや写真だけでなく、動画で商品を紹介するサイトを作れたらいいな、と常々考えていたといいます。

「ここ2、3年ほどで、動画視聴環境がぐっと変わってきました」とケイコさん。「誰もがスマホを持つようになり、ネット回線も安定してきたので、空いている時間に動画を見ることが一般化してきました。これなら、動画で伝えることが配信者側も視聴者側も楽なのでは?と思えるようになってきたんです」

そのような背景に、二人の出会い、そしてコロナ禍で苦しんでいる生産者たちを応援したい――これらのピースがかっちりとハマり、「タカとケイコの食&旅チャンネル」は生まれたのです。

ネットワークとコミュニティの存在がキモ

タカとケイコの食&旅チャンネルでは、“タカの目”とケイコさんが表現するように、フードソムリエとして眼識を養ってきたタカさんの眼鏡にかなう加工食品や食品素材、そしてそれらを生み出している生産者が紹介されています。

1回目:チーズ工房白糠酪恵舎(4月26日)
2回目:たまご農園・十勝エッグフォレスト(5月6日)
3回目:チーズ工房白糠酪恵舎(5月22日)(取り扱っているチーズの楽しみ方)
4回目:ニシキ醤油(7月23日)

「ニシキ醤油」の商品を取り扱った放送
▲「ニシキ醤油」の商品を取り扱った放送

「チーズ工房白糠酪恵舎」の商品セット▲「チーズ工房白糠酪恵舎」の商品セット

image03.jpg▲「ニシキ醤油」の商品セット

これらの生産者や食材をどのように見つけているのでしょうか。

「わたしのネットワークの中に、紹介したいと思う生産者さんがいらっしゃるんです」とタカさん。「年に何十人もの方にお会いするんですが、さまざまな商品の中に埋もれてしまっていて、皆さんに知ってもらいたい、わたしたちが紹介することに意義がある、と思える生産者さんは20人くらい。そんななかでも今、コロナ禍で課題を抱えているであろう方を、早い段階でご紹介しています」と説明します。

酪農家を応援したい、ということからはじまった1回目配信の直後には500件もの注文が殺到し、手応えを感じたといいます。

とはいえ、それも「ネットワークとコミュニティのおかげで助けられた」とタカさんは考えています。

ケイコさんは「やはり、タカの目に対する料理家さんたちの信頼があると思う。タカさんの眼鏡にかない、タカさんがすすめるんだから、間違いないだろうということで、買っていただいているんだと思うんです」と付け加えます。

紹介する商品や作り手、また購入者との確固たるネットワークと、それを支えるコミュニティがあったからこそ、タカとケイコの食&旅チャンネルは成功しているというわけです。

生産者と購入者を結ぶ

よりすぐりの食材を紹介すべく、楽天市場内にECショップを立ち上げていたタカさんと、自分がいいと思ったものをショップチャンネルでメーカーに代わって紹介していたケイコさん。人前に出ることにためらいのない2人とは異なり、生産者は、いわば職人です。ライブ配信への出演や、自分たちで作ったものが紹介されることについてどのように感じているのでしょうか。

「動画に出るのは嬉しいと感じてもらっているみたいですよ」と言うのはタカさん。「テレビ出演と同じ感覚なんですね」とほほえみます。

ケイコさんも「ニシキ醤油さんのときには、『こういう機会をいただけてありがたい』とおっしゃっていただき、会社の三代目と四代目が出演してくださる、という状態でした」と言います。

「生産者には、こだわりがある。それが多ければ多いほど、伝えたいこともたくさんある。ただ、それを伝える機会がほとんどないんですよ。わたしたちの番組が、その一助になっているのかな、と思うとうれしいですね」(タカさん)

「ライブ配信では生産者から視聴者の顔は見えないですが、リアルタイムで感想や質問が投稿されたりするので、そこには確かなコミュニケーションが生まれています。視聴者は、生産者の顔が見えるから安心するし、信頼もする。生産者は、視聴者を意識するから愛情が湧く。ゆくゆくは、お互いの顔が見えるようにしたいですね」(ケイコさん)

ライブで配信した動画は、Facebookページに残すことで、購入者が、素材についての情報を再確認したり、購入しようか考えている潜在的顧客の後押しをしたりできるようにしています。また、ライブ配信中に残したコメントに、出演者のタカさんやケイコさんからの返信がある場合、それを確認することで、コミュニティの絆はさらに強まります。

「生産者の顔を何度も見ることで、親しみを感じてくれる人もいるみたいですよ」とタカさん。「直接、工房を訪ねに行く人もいるくらい(笑)」

タカとケイコの食&旅チャンネルは、コロナ禍であえぐ生産者をサポートし、さまざまな商品の中で埋もれがちな優良品を広く知らせる以外にも、ファンづくりという役割まで果たしているのです。

では、実際の配信のためにどのような下準備を行い、どのような機材を配信で使っているのでしょうか。購入者へのフォローは? マネタイズは? ……後編では、ライブショッピングをやってみたい、という人への具体的なアドバイスや、方法についてお伝えします。

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