新型コロナウイルスの影響を受け、公共交通機関ではなく、車を利用する方が増えていると聞きます。特に個人事業主の中には車を利用する方も多いと思いますが、コスト削減のため中古車を購入するケースもありますよね。
中古車を購入する場合は、車両自体の購入費以外に、保険や駐車場、ガソリン代などさまざまなコストが発生しますが、こうした費用をすべて経費として計上できるのか、しっかりと把握されている方は少ないのではないでしょうか。
また、あくまでも仕事で利用する名目で購入した場合でも、たまにプライベートなどに使うという場合は、経費にできるのか不安になりますよね。そこで今回は、個人事業主が仕事用に中古車を選ぶポイント、購入した中古車を経費として計上する場合の注意点を紹介します。
仕事用に中古車を選ぶポイント
仕事で使う中古車を選ぶ際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
予算
仕事用の中古車を購入する場合、最初に決めておくポイントが予算です。どの程度の金額を車に割くことができるのか、無理のない範囲で決めておきましょう。
中古車は新車に比べ、幅広い価格・車種の中から選ぶことができます。ただし、中古車といっても発売後間もないものや、人気のある車種は値段が高くなるので注意が必要です。一方で、発売から数年経っていたり、購入時点での走行距離が多い車両の場合は、価格的には狙い目と言えるでしょう。ただし、後ほど改めて説明しますが、車両の状態はしっかりと確認しましょう。
維持費
車を購入すると、ガソリン代やメンテナンス費用、保険や税金などがかかります。基本的に、車のサイズが大きくなるほど、保険や税金は高くなります。車両選びの際に考慮しましょう。また、燃費のよい車を選んでおかないと、ガソリン代も高くなるので注意が必要です。
サイズ
どのような業務に使用するかによって、車種の選び方も異なってきます。単に移動するだけであれば小さな車でも構いませんが、人が大勢乗る場合や荷物をたくさん載せる場合には、ミニバンなどそれなりのサイズの車を選ばなくてはなりません。
車の状態
中古車は、他の方が利用していた車なので、その方の使い方が中古車の状態に反映されます。できるだけ状態のよい中古車を選んでおきたいところです。しかし、車の外観だけであれば素人でも判断がつきますが、エンジンの状態などの判断は難しいでしょう。そのため、もし状態のよい中古車を選びたい場合には、検査機関によって車両状態をチェックした「鑑定書」や「証明書」を参考に、中古車を選ぶと安心です。
なお、「BIGLOBEクルマ 中古車探し」で、全国の中古車をチェックできます。あなたの業務に合う中古車を探してみてください。
車を経費計上する場合のポイントや注意点
そもそも仕事用に購入した車や諸経費は、どこまで経費計上できるのでしょうか。
経費の対象になる車と諸経費
まず、個人事業主が使用するにあたって、仕事専用の車と、仕事とプライベートの両方で使う車のどちらも経費計上が可能です。ただし、仕事専用に購入した車は、全額経費対象とすることが可能ですが、仕事とプライベート兼用の車については、仕事で使った分だけしか経費計上できません。したがって、兼用する場合は仕事とプライベートの費用を別々に管理しておくことが必要です。そして、仕事とプライベートが混在した費用(家事関連費)については、仕事用の割合を合理的に按分して経費計上します。これを「家事按分」と呼びます。
出張の際の高速代や時間貸駐車料金など、明らかに仕事で利用したものは経費管理しやすいのですが、問題はガソリン代や駐車場代などの家事按分が必要となる費用です。この場合は、仕事での利用割合を走行距離や使用日数等によって合理的に按分する必要があります。たとえば、「週に5日仕事で利用するので5/7を経費として計上する」といった対応も考えられます。
これは、車の減価償却費の家事按分にも関係しますので、慎重な判断が必要です。法的な基準も不明確なため、後日税務調査時にトラブルが発生しないように、できれば税理士等に相談して、事業実態に合った按分割合を決めた方がよいでしょう。
経費計上できる主な費用としては、以下のようなものが挙げられます。
品目 | 勘定項目 |
ガソリン代 | 車両費、もしくは燃料費 |
駐車場代(月極駐車場) | 地代家賃 |
高速代、時間貸駐車料金 | 旅費交通費 |
自動車保険(自賠責保険、任意保険など) | (損害)保険料 |
車検代 | 車両費、もしくは修繕費、雑費 |
自動車税(自動車取得税や自動車重量税など) | 租税公課 |
検査登録、車庫証明手続代行 | 車両費、もしくは雑費 |
これらの諸経費も仕事兼プライベートで使う車の場合は、家事按分が必要になります。なお、リサイクル料(車を廃棄処分するための費用で、購入者が負担。基本的に前払いのため中古車購入時に発生するのが一般的)は、経費計上できないので注意しましょう。
車の購入金額を経費計上するときの注意点
先ほど、「仕事用に購入した車は全額経費にできる」と説明しました。しかし、購入した事業年度に全額経費計上することはできません。なぜなら、仕事用に購入した車は、一旦、購入価格を固定資産として計上し、減価償却という方法で経費計上する必要があるからです。
「減価償却」とは、業務用資産を使用する複数年度(耐用年数)にわたって経費計上する方法です。たとえば、100万円の車を5年で減価償却する場合は、毎年20万円しか経費計上できません。また、購入した初年度に関しては、購入月から12月までの月割りになります。なお、車の法定耐用年数は税務上、車の種類や用途などによって決められており、新車購入の場合であれば、通常、普通自動車が6年、軽自動車なら4年です。
中古車を購入する場合
中古車購入の場合は、税務上の一定の要件を満たせば、新車よりも短い耐用年数で減価償却できます。また、青色申告者であれば、現行制度では、購入価格が30万円未満(「少額減価償却資産」)の場合にその購入年度に全額を経費計上できるという特例の利用も可能です。これらの点は専門的な判断が必要ですので、購入前に自分のケースでは実際に適用可能なのかどうかをよく調べて、ぜひ、自分の事業プランに合った中古車選びをしてください。
サブスクという手段も
今回は、個人事業主が仕事用に中古車を選ぶポイント、購入した中古車を経費として計上する場合の注意点を紹介しました。
最近では、車のサブスクリプションサービスも登場しています。税金や任意保険、メンテナンス費用といった諸経費もコミコミなので、トータルで考えるとこちらのほうが安くなる可能性もあります。ぜひ検討してみてください。
※掲載情報は2020/12/9時点
監修者:山田一成(ヤマダカズナリ)
山田オフィス所長/税理士。法人・個人の事業形態を問わず、主に税務・財務面から、クライアントの事業価値を高めるためのアドバイスを心がけています。