ビジネスをはじめるには元手が必要なのに、手持ち資金が心細い。だけど、銀行の融資はハードルが高い! そんなとき、資金を集める手段としてどんなものがあるでしょうか?

銀行の他に、お金を提供してくれる投資ファンドやベンチャーキャピタルを聞いたことがあるけれど、どんな企業なのか、銀行との違いはなんなのか、具体的にはわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回は、中小企業の味方、ベンチャーキャピタルをご紹介します!

ベンチャーキャピタルってなに?

そもそも「ベンチャーキャピタル」とはなんでしょうか?

「ベンチャー(venture)」は、「アドベンチャー」のベンチャーで、「冒険する」ことを意味します。転じて、ビジネスにおいては「新規事業をはじめる」「投機」の意味で使われます。

「キャピタル(capital)」は、「キャピタリズム(資本主義)」という言葉からもわかるように、「資本」を意味します。ざっくり「ビジネスの元手となるお金」と考えておきましょう。

この2つを合わせた「ベンチャーキャピタル」とは、「ベンチャー企業やベンチャービジネスに資金を提供する企業(投資ファンドの一種)」のことです。

辞書的に掲載されている意味は、以下の通り。

【ベンチャーキャピタル】(venture capital)
ベンチャービジネスが発行する株式への投資などによって資金を提供する企業または機関。株式の上場による値上がり益を主たる収益源とする。VC。
出典:デジタル大辞泉(小学館)

銀行とはどう違う?

ビジネスのためにお金を提供する機関としては、まっさきに銀行を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、銀行から融資を受けるには担保が必要です。これから事業を展開するベンチャー企業には、担保がない場合がほとんどでしょう。ベンチャー企業にとって、銀行は融資を受けるハードルが高いのが現状です。

そこで登場するのが、ベンチャーキャピタルです。ベンチャーキャピタルは担保の有無ではなく、事業の将来性で出資の判断をします。会社がまだ小さく、未上場のうちに出資をしておく。会社が大きくなって上場(株式公開)したのちに、株式を売却して利益を得る。ビジネスの青田買いです。

ただ、ベンチャー企業のビジネスがうまくいかない、上場できない、廃業になるなど、出資先の企業が必ず成功するとは限りません。出資者にとっては、ハイリスクな投資ですが、将来有望な企業に早い段階で資金提供するので、産業育成の意味合いもあります。

投資ファンドとはどう違う?

ベンチャーキャピタルも投資ファンドの一種ですが、大きな違いは、投資先企業のステージです。ベンチャーキャピルは未上場の企業へ出資し、投資ファンドは上場してある程度成長した企業に対して出資を行います。

投資ファンドの中で、特に未上場企業に出資するファンドが、ベンチャーキャピタルと呼ばれます。ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業が上場したときのキャピタルゲイン(株の売却益)を狙っているので、あえて株式公開前の企業に出資するのです。

ベンチャーキャピタルのメリット・デメリット

ベンチャーキャピタルから受けられるのは「融資」ではなく「出資」です。「融資」と「出資」は別物です。共にビジネスのために資金を調達する手段ですが、意味が違います。

「融資」は借金です。銀行などの金融機関や公的機関からお金を借りることです。ですから、定められた期限まで利子をつけて返済しなければなりません。

それに対し、ベンチャーキャピタルが行う「出資」には利子がつきません。返済の義務もありません。その代わり、株式を発行して出資者に渡します。その結果、出資者がベンチャー企業の経営に対して、影響力を行使する可能性があります。

この「融資」と「出資」の違いが、ベンチャーキャピタルのメリットとデメリットに反映されます。

ベンチャーキャピタルのメリット ベンチャーキャピタルのデメリット
・返済の必要がない
・利子がつかない
・担保や保証人がいらない
・経営に口出しされるリスクがある
・事業に新規性や将来性が必要

銀行からの「融資」がいいのか、ベンチャーキャピタルからの「出資」がいいのか、一概には言えません。経営者によって経営方針に違いがあるからです。

とはいえ、NewsPicksの調査によると、2019年スタートアップ企業の資金調達額は5,254億円。そのうち45.5%がベンチャーキャピタルからの投資というデータもあります。全体額の約4割がベンチャーキャピタルから出資され、スタートアップ企業にとって重要な資金調達手段であることが分かります。

引用:NewsPicks【無料最新版】2020年「スタートアップ調達トレンド」の全て2021.1.29

ベンチャーキャピタルを使った資金調達例

最後に、実際にベンチャーキャピタルを使った資金調達の具体例をご紹介します。出資する企業はベンチャーキャピタルをはじめ、複数の企業がお金を出し合うのが一般的です。政府や公的機関、証券会社、銀行など、ベンチャーキャピタルの運営元もさまざまな形態があります。

ランサーズ(2013年、3億円)

クラウドソーシングで仕事の受発注を行うプラットフォームを提供するランサーズは、2013年に3億円の資金調達を行っています。 グロービス・キャピタル・パートナーズとGMOベンチャーパートナーズのベンチャーキャピタル2社からの出資です。人材育成や海外事業拡大のために資金調達を行いました。

メルカリ(2016年、約84億円)

国内最大級のフリマアプリとして有名なメルカリ。 2016年の資金調達額は約84億円、株式会社日本政策投資銀行、グロービス・キャピタル・パートナーズ、グローバル・ブレイン、など複数社から出資を受けています。海外展開と国内サービスの充実を目的とした資金調達です。

JapanTaxi(2017年6月〜2018年2月、91.5億円)

タクシーの配車や運賃支払いができるスマホアプリを提供するJapanTaxiは、 ベンチャーキャピタルの未来創生ファンド、タクシー会社2社、トヨタ自動車から出資を受けています。2017年6月〜2018年2月の期間で91.5億円。タクシーの配車アプリとしては、国内でトップのシェアを誇っています。

ベンチャーキャピタルで資金調達できる

日本のスタートアップ企業に対する投資額は2012年から2019年まで順調に増加、2019年には5,254億円に達しています。2020年は新型コロナウィルスの影響で減少しましたが、新しくビジネスをはじめようと考える人にとっては、資金を集めやすいチャンスのある時代です。

資金を調達できるのは銀行だけではありません。ベンチャーキャピタルも利用して、潤沢な資金でビジネスを拡大させるという方法もある、と言えるでしょう。

※掲載情報は2021/6/8時点