最近、「ワーケーション」という言葉を聞く機会が増えました。

ワーケーションとは、「Work」と「Vacation」を組み合わせた造語。観光地やリゾート地を訪れ、休暇を取りながらテレワークで働く過ごし方を指します。コロナ禍で普及したテレワークの定着と観光需要の回復を目的に、政府が推進しています。

しかし一方では、「観光地で休みながら働くなんて、本当にできるの?」という声も少なくありません。実際にどのように過ごすのかもイメージしにくく、いまいちピンと来ない方も多いのではないかと思います。

そこで今回は、夏にワーケーションを実践してきたAさんにインタビュー。実際にどのような1日を過ごされたのか、お話を伺いました。

25歳女性会社員が湯河原温泉でワーケーションしてみた

――簡単に自己紹介をお願いします。

東京のIT企業で働く会社員です。新型コロナウイルスの影響により、完全テレワークとなり、春以降はずっと自宅で働いていました。

そんな中、ずっと自宅にいるストレスを感じつつあったタイミングで「ワーケーションをしてみよう」という話が上司からありまして。いい機会だと思って、私も参加してきました。

――行き先はどちらですか?

神奈川県の湯河原です! 東京からアクセスのしやすい温泉地ということで、こちらに決まったそうです。コロナが流行してからは遠出することもなく、もちろん温泉なんてもうずっと入っていなかったので、話を聞いたときは素直に嬉しかったですね。

午前中はホテルで仕事

湯河原駅

――ここからは、実際にどのように過ごされたのか、順を追ってお話を聞ければと思います。湯河原へは前日入りしたうえでホテルに宿泊し、翌日から仕事に励まれたとお聞きしました。

はい。前日に電車で湯河原駅へ向かい、そのままホテルに宿泊しました。早々に寝てしまったので、翌朝は晴れ晴れとした気持ちで早起きしたことを覚えています。

目が覚めて窓を開けると、外の澄んだ空気が入ってきて気持ちいいんですよね……! 思わず外に出て、朝の散歩へ。

早朝の散歩の様子

ホテルのすぐ横を川が流れていたので、橋の上から穏やかな川の流れを眺めたり、せせらぎに耳を澄ませてみたりして。しばらく触れていなかった自然に癒やされるような感覚があって、それだけで「来てよかった!」と思えました。

30分ほど散歩を楽しんだら、ホテルに戻って朝食です。

ホテルの朝食

ホテルの朝ごはんといえば、バイキング! 思い思いに好きな食べ物を取るのって、すごくワクワクしますよね……! 1日のスケジュールを考えつつ、おいしくいただきました。

――朝食後は、すぐに仕事に取り掛かられたのですか?

はい。一息ついたら、気持ちを切り替えて仕事に取り掛かりました。

ホテルのオープンスペースで仕事

パソコンとインターネット環境さえあれば仕事はできますので、集中できそうなホテル内のオープンスペースで。

開いた大窓の外からは川のせせらぎが聞こえてきて、都会の喧騒とは異なる環境音がすごく新鮮。窓の外には色鮮やかな緑の草木と眼下を流れる川が見え、ちょっと考え事をする際などには、思わず目を向けてしまっていました。

いつもと同じ時間、いつもと同じパソコンに向かっての仕事ですが、周囲を見ればそこはオフィスでも自宅でもない、癒しの空間。「環境が変わるだけで、こんなにもリフレッシュした気持ちになれるんだ……!」という気づきがありました。

――パソコンで仕事をするにあたって、通信面の問題はありませんでしたか?

ホテルのオープンスペースは、Wi-Fiの電波がちょっと弱い印象を受けました。もしかしたら場所が悪かったのかもしれません。作業に困るレベルではありませんでしたが、モバイルルーターがあったほうが安心できるかもしれませんね。

ホテル内のWi-Fi通信環境

一方で、客室のWi-Fiは非常に安定していました。リモートデスクトップにつないでもまったく問題ないほどです。

途中から客室に移動したのですが、ちょうど良い高さの机と椅子があるので、集中して作業をすることができました。「周囲の人の視線や声のない個室」という意味では、客室が最も自宅に近い環境と言えるかもしれませんね。

豪華なお刺身ランチに舌鼓を打ち、食後もリラックス

――自宅であれば料理を作る、職場であれば外で食べたり買ってきたりする必要がありますが、お昼ごはんはどうされましたか?

お昼は12:30頃から、ホテル近くの『和食 うおたつ』さんでいただきました。魚料理がおいしい和食屋さんらしく、玄関に大きな水槽があるんですよ!

『和食 うおたつ』さんのランチ

これだけお刺身が盛られていると東京では5,000円はくだらなそうですが、それがなんと2,000円台で食べられます。旬の魚がたくさん盛られた丼が一番人気なのだとか。今回はお刺身定食をいただきましたが、本当においしかったです!

しかもお店の奥には源泉かけ流しの足湯があって、食事に来たお客さんは無料で利用できます。東京ではランチタイムも忙しなく過ごしていた印象がありましたが、ゆっくりと食事を味わいつつ、さらに食後には足湯でリラックスして、贅沢な時間を過ごすことができました。

店舗名:和食 うおたつ
所在地:〒259-0314 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上73-1
電話:0465-62-3113

昼食後の散歩

食後は運動がてら、周辺をお散歩。東京では「食後のお散歩」なんてする気持ちの余裕も時間もなかったので、とても良い気分転換になりました。

慌ただしくオフィスに戻る必要はなく、のびのびと過ごしてリラックスしてから午後の仕事に取り組めるため、効率の面でも良い効果が出ていたのではないかと思います。もちろん、あまりのびのびし過ぎてしまうのは考えものですが(笑)

リラックスした気持ちで会議に臨み、アフター6もゆったり

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――今回は同僚や上司も交えたワーケーションの試みだったとのお話ですが、チームでの業務に何か変化はありましたか?

ちょうど午後にチームで会議があったのですが、自分も含め、みなさんとてもリラックスした雰囲気で話し合いに臨まれていたように思います。会議の前後には「あのお店のランチ、おいしかったですよ」なんて雑談もしたり。

会議の内容は、むしろ普段よりもクリエイティブな話ができていたように思います。環境を変えたことによるメリット……と言えるでしょうか。お互いに遠慮せず意見を出し合える雰囲気が生まれ、アイデアも出てきやすかったように感じます。

――仕事が終わった後はどのように過ごされましたか?

私の場合、アフター6は駅周辺を散策して楽しんでいました。自然豊かなホテル近辺もいいですが、そういえば駅の近くは歩けていなかった、と思ったので。

アフター6は近くのカフェへ

途中でおしゃれな喫茶店を見かけたので、そちらで一息ついてみたり。都会にもレトロな純喫茶はありますが、こちらはなんとなく時間の流れがゆったりとしているような雰囲気で、落ち着いた気持ちで過ごすことができました。

ゆったりと落ち着いた雰囲気の店内

シックで落ち着きのある「映え」方が素敵

こうして写真を見返してみても、鮮やかで眩しい、フォトジェニックな都会の「映え」とは違って、シックで落ち着きのある「映え」方が本当に素敵だと思います。他にも気になるお店があったので、次に訪れる際には入ってみたいですね!

店舗名:珈琲ウエスト本店
所在地:〒259-0304 神奈川県足柄下郡湯河原町宮下29-3
電話:0465-62-9737

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夜は、ワーケーションに来ているメンバーで焼き鳥屋さんへ! 今年は在宅勤務続きでなかなか会えていなかったこともあり、話も弾みました。それまで交流のなかったメンバーとも楽しく話せたのも嬉しかったです。

言ってしまえば普段の「飲み会」と同じなのですが、それでもやはりコロナの影響もあって、この日の夜の集まりは特別だったように思います。オフィスから遠く離れた土地で、馴染みのあるメンバーとも、初めましてのメンバーとも一緒になって、おいしい食事を囲みながら交流をする。

オンライン会議の画面越しではできなかったような話や、普段はしないような話題まで飛び出して、上司も含めてかなり打ち解けられたように思います。働きながらも充実した1日を過ごすことができ、満ち足りた気持ちで湯河原を後にすることができました。

店舗情報:鳥助
所在地:〒259-0314 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上292-8
電話:0465-62-4729

ワーケーションを終えて

――実際にワーケーションを終えて、いかがでしたか?

都心の忙しない環境から解放され、心身ともにリラックスできた1日でした。外出や人とリアルで会うことのハードルが高くなり、価値観が変化しつつある中での実施だったからこそ、その効果をより強く実感できたように思います。

コロナをきっかけに新しい働き方が注目される中で、ワーケーションへの注目は今後ますます高まるのではないでしょうか。こうして実際に体験したからこそ、この取り組みがもっと注目されていくだろうと感じています。

※本ワーケーションは十分な感染対策の上、実施されました。