人を雇うということは、雇い主(使用者)と働いてくれる人(労働者)の間で、「雇います」「働きます」とお互いに約束する「雇用契約」を結ぶことになります。

雇用形態の違いは関係なく、働いてくれる人は全て「労働者」です。正社員、派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトなど、全て「労働者」とみなされ、労働法の適用を受けることになるので、労働法で定められた雇用のルールを覚えておきましょう。

採用時に決めた労働条件は「書面」で通知

どのように働くかを示した労働条件は、雇う側、働く側の両方が合意していることが大切です。特に、次の5つの重要な労働条件は、口約束だけでなく、必ず「労働条件通知書」などの書面を作成して、交付するように法律で定められています。

労働契約の期間

期間を定める「有期契約」と、特に期間を定めない「無期契約」があります。長期雇用を前提とする正社員は無期契約、アルバイトやパートタイマーなどの短時間労働者は有期契約とすることが一般的です。有期契約の場合は、契約の更新についての判断なども決めておきます。

働く場所と業務内容

仕事をする場所はどこで、どのような仕事をするのか内容を明記します。

労働時間

勤務時間(始業および終業の時間、休憩時間など)、残業の有無、休日や休暇についても、明らかにしておきます。

賃金の支払い

「時給1,200円、25日締め、月末に口座振込」など、賃金をどのように計算して、どのように支払うのかを決めておきます。

退職手続き

仕事を辞めるときの決まりごと、解雇処分となる事由なども、あらかじめ示しておきます。

雇用契約書の作成は必要?

雇用契約を結ぶ際に、「雇用契約書」の作成は法律で定められていません。口頭で採用を伝え、労働条件を明記した「労働条件通知書」を相手に渡すだけでも、法的には問題ありません。

ただし、通知書を一方的に渡しただけでは相手が紛失してしまう可能性もあり、万が一トラブルになったときに、どのような労働条件で合意していたか証明しづらくなります。

採用の時点で労働条件通知書を兼ねた雇用契約書を作成しておくと、使用者と労働者の双方が署名または記名押印して、それぞれ保管することになるので、「言った、言わない」で争うような無用なトラブルを避けることができます。

誰かを雇ったら労働保険に加入する義務あり

労働者を1人でも雇用したら、業種や規模に関わらず、必ず労働保険(雇用保険、労災保険)に加入する義務があります。

労災保険(労働者災害補償保険)

労災保険は、労働者が業務中または通勤途中でけがをしたり、病気、死亡した場合に国が事業主に代わって、労働者やその遺族に必要な保険給付などを行う公的な保険制度です。パートやアルバイトであろうと、労働者を1人でも雇用した場合は適用され、保険料は全額事業主が負担します。

雇用保険

雇用保険は、労働者が退職した後に、失業保険などを受けるための保険制度です。事業所規模に関わらず、「1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込がある人を雇用する場合」に加入する必要があります。保険料は労働者と事業主の双方が負担します。雇用保険に関する各種受付はハローワークで行っています。

なお、健康保険や厚生年金保険などの社会保険に関しては、常勤する従業員が(自分を含まずに)5人以上の場合は加入することになりますが、理美容業、飲食店などのサービス業の場合は例外的に加入義務はありません。任意で加入した場合の保険料は、事業主と労働者が折半で負担します。

勤務状況を管理するための帳簿も用意を

労働者を雇用した使用者は、「法定三帳簿」と呼ばれる3つの書類を作成して、適切に管理・保存しておくことが労働基準法で義務付けられています。万が一、労働者ともめごとが発生したは重要な参考書類となるので、きちんと記録するようにしておきましょう。

労働者名簿

労働者名簿は、氏名、住所、生年月日、性別、履歴、雇用した年月日など、基本的な情報を記録した書類のことです。日雇い労働者を除いた、全ての労働者について作成する必要があるので、採用の際に必ず確認するようにしておきましょう。労働者名簿は、労働者の死亡、退職または解雇の日から3年間保存する必要があります。

賃金台帳

賃金台帳には、賃金計算のもとになる内訳、労働日数、労働時間数、手取り額など、賃金に関する詳細を記録しておきます。賃金を支払う度に遅延なく記入しておきましょう。賃金台帳は、最後に賃金を支払ってから3年間保存する必要があります。

出勤簿

労働者が出勤した日、出勤・退勤時間、休憩時間などを記録した書類です。賃金計算の際にも使用する大切な情報なので、適正に記録し、常に把握できるようにしておきましょう。勤怠システムやタイムカードなどを使って、変更することができないような形での記録が望ましいとされています。出勤簿は、最後に出社した日から3年間保存する必要があります。

労働基準法などで義務付けられた手続きは、提出を求められたときに用意できないと処罰の対象になることもあります。これらの人を雇うときのルールは、厚生労働省のウェブサイトにも詳しく掲載されています。人を雇うことを考えたら、一読しておくことをお勧めします。

人を雇うときのルール|厚生労働省