企業・店舗の集客や売上アップ、PRのために、ブランディングの重要性について一度は耳にしたことがあるでしょう。
しかし、具体的に「ブランディングってどういうこと?」「どうやってブランディングしていくのか?」と聞かれると、少し考えてしまうのではないでしょうか。
今回は、ブランディングの定義や必要性、手順、メリットなどを解説します。
ブランディングとは?
ブランディングとは、「ブランド」を築き上げていくための活動をまとめて表現した言葉です。「ブランド化」や「ブランド戦略」と言い換えることもできます。
そもそも「ブランド」とは、他の企業・商品・サービスと比べ、変わっている(優れている)と消費者が認識できる要素のことです。そのブランド「らしさ」「ならでは」といった表現ができる要素に当たります。
なかには「価格が高くても売れている=ブランディングできている」と考える人もいますが、価格設定だけでブランドを築けるわけではありません。ブランドには、商品・サービスの内容、デザイン、ロゴマーク、名称、キャッチコピー、商標までさまざまな要素がからみ合います。
たとえば「ピアノ」と言えば、すぐに「ヤマハ」をイメージするかもしれません。「物置」では「イナバ」を思い浮かべる人もいるでしょう。
このように「◯◯の商品といえば◇◇」と消費者にイメージしてもらうことができれば、購買につなげられ、市場シェアや顧客の獲得を優位に進められるでしょう。
ブランディングの必要性と役割
ブランディングは、厳しい市場競争を勝ち残るために欠かせない武器となっているといえるでしょう。グローバル化が進む現代では多国籍企業が次々と生まれており、日本企業は国内だけでなく、世界中の企業との競争を迫られています。
同じような価格・品質・機能の商品・サービスは市場に溢れかえり、消費者にとっては「選択肢過剰の時代」にもなっています。消費者に無数にある選択肢から自社の商品・サービスを選んでもらうためには、価格・品質・機能だけでの差別化は心許ないでしょう。
消費者が「似た商品はあるけれど、このブランド(会社)が好きだから」と思い、行動してもらうためにもブランディングは欠かせません。裏を返せばブランディングに成功することで、集客や販売促進、PRといった面でその効力を発揮します。
ブランディングの3つの手順
前提として、ブランディングはさまざまな手法が用いられるため、一概に「これが正解」と言うことはできません。今回は、代表的な以下の3つの手順を紹介します。
①ターゲットユーザー、ポジショニングを設定する
まずは、売上の主力となるターゲットユーザーを決めましょう。マーケティング用語で「ペルソナ」と呼ばれることもあります。
ターゲットユーザーが定まれば、ピントの定まったキャッチコピーを打ち出したり、“いいね”を集めるSNSの発信が行えるでしょう。年齢や職業、家族構成、趣味など、できるだけターゲットユーザーを明確にすることで、より効果的なブランディングにつながります。
ポジショニングとは、市場において「競合他社と比べ、自社がどういった立ち位置にあるのか」を把握し、そのポジションを活かせる戦略を練っていくことです。ポジショニングの分析は、価格・機能・販路などさまざまな切り口で行うことが大切です。
②ブランドアイデンティティを固める
ターゲットユーザーやポジショニングを踏まえ、ブランドアイデンティティを固めていきましょう。
「ターゲットユーザーがどういったブランドを好むか」、「自社のポジショニングをどう活かすべきか」などから、ブランドアイデンティティを固めていきます。
たとえば、競合他社が「低価格」を重視したポジショニングを取っていたら、自社は「高品質」を重視したブランドアイデンティティを固める、といった戦略が効果的だと言えるでしょう。
③ブランディングの具体的な手法を決める
ブランドの方向性が定まったら、具体的な手法へと落とし込んでいきます。
ブランドアイデンティティを表現する場は、公式ホームページや商品名、キャッチコピー、商品・サービスのデザイン、テレビCM、YouTube、SNS、紙媒体など、いくらでもあります。
かけられるお金や時間、人員などを考慮し、実現できる手法から着手していきましょう。
ブランディングに成功することで得られるメリット
ブランディングに成功することで、主に3つのメリットを享受できます。
①価格競争からの脱却
競争の激しい市場では価格競争に巻き込まれ、安さで他社との差別化を図ろうとしがちです。それでは、資金力のある企業に勝つことはできません。
ブランディングに成功すれば、「多少高くても、あのブランドの商品が欲しい」と消費者に思ってもらえるでしょう。
②企業のファン、売り上げや利益率の増加
自社ブランドを好む顧客が増えてくると、何度もリピートしてくれる「ファン」も出てきます。ファンは、SNSなどでお気に入りの商品をシェアしてくれたり、家族・友人に勧めてくれたりと商品・サービスを広めてくれます。
売り上げアップはもちろんのこと、結果的には広告費の削減にもつながり、利益率のアップにもつなげられるでしょう。
③採用活動への相乗効果
ファンの中には、「この会社で働きたい!」と思ってくれる人も存在します。採用面接で、「昔からこのブランドが大好きで、いつか働きたいと思っていた」と志望動機を語る求職者が出てくることもあるでしょう。
集客や売上アップだけでなく、採用活動にも相乗効果をもたらすのがメリットの一つです。
ブランディングを理解してビジネスに活かそう!
ブランディングに対する意識は人や企業によって様々で、なかにはブランディングに着手していない企業・店舗も存在するでしょう。しかしながら国内外の厳しい市場で生き残っていくために、ブランディングはもはや必須ともいえます。
ブランディングについて正しく理解し、ビジネスに活かしてはいかがでしょうか。