在庫管理は、お店を経営する上で欠かすことのできない日常的な業務の一つです。しかし、保管期限の短い生鮮食品を取り扱う飲食店にとっては、日々の管理が大変な作業でもあります。この記事では、より効率的かつ正確な在庫管理を行うための基本的な方法について解説します。

飲食店における在庫管理の役割

そもそも飲食店における在庫管理は、どのような役割を担っているのでしょうか?

機会損失や食材ロスの防止

在庫管理は、お店の商品や食材の在庫状況を把握し、仕入れ数量が販売数に対して適切かどうかを見極めるための業務です。

発注した食材が少なすぎる場合、品切れによる機会損失が発生してしまいます。一方で過剰な仕入れは、廃棄による食材ロスを招く恐れがあります。

精度の高い在庫管理が行われると、適切な量の食材や商品を適切なタイミングで発注することができるようになります。仕入れコストを無駄なく最小限に抑えることができるので、店舗利益を向上させることが可能です。

食材が足りず、急きょ買い出しに行って開店時間に間に合わなかったり、過剰な食材を使い切るために特別メニューを考案、または特別価格で安売りしたり、といった失敗を防ぐことにも役立ちます。

品質低下や食品事故の防止

管理業務には傷んだ食材や消費期限の切れた在庫商品の廃棄なども含まれます。管理がずさんだと、品質の低下はもちろん、食中毒などの事故を引き起こす可能性もあります。お客様の安心や満足度のためにも、きちんとした在庫管理が求められます。

飲食店における在庫管理のポイント

飲食店が行うべき、具体的な在庫管理の方法は次の5点です。

①食材を分けて保存する
②日付の記入
③先入れ先出しの徹底
④棚卸しの実施
⑤棚卸表・在庫管理表の作成

①食材を分けて保存する

まず食品事故を防ぐために気をつけなければならないのが、仕入れた食材の保存方法です。

肉や魚介類およびそのドリップが、他の食材やできあがった製品と接触すると、細菌やウイルスによる食中毒の原因となる恐れがあります。各食材と、できあがった製品や半製品は必ず区別し、清潔なバットやビニール袋、蓋付きのタッパーなど、別の容器に分けて保管。それぞれが接触しないように注意する必要があります。

②日付の記入

さらに生鮮食品を扱う飲食店では、食材の消費期限である「シェルフライフ」と、製品および半製品の賞味期限である「ホールディングタイム」をそれぞれ把握しておかなければなりません。

食材を保管した容器には、必ず日付を記入します。納入日や開封日、解凍日、賞味期限、消費期限などの必要な情報が、一目で分かるように記載しておきましょう。

特に、一度調理や冷凍を施した食材は、新しいものと古いものとの区別がつきづらくなってしまいます。しかし日付を書いて管理することで、先に使用するべき食材を簡単に判断できます。万が一、期日の過ぎた食材があった場合には、速やかに廃棄してください。

③先入れ先出しの徹底

また、保管している食材を使用する際は、その順番にも気を付けなければなりません。必ず「先入れ先出し」を徹底しましょう。

「先入れ先出し」とは、仕入れた日時の古い在庫から順番に使用する方法で、食品業界においては、鮮度を保つための基本的な食材管理方法です。効率よく先入れ先出しをよく行うためには、保管場所の整理や工夫も大切です。新しく入荷した食材は保管場所の奥に保管し、先に入荷した食材は手前に保管するなど、取り出しやすいようにしておきましょう。

④棚卸しの実施

保管した在庫を管理をする上では、実際にどれだけの在庫がお店にあるのか、その状況を把握する必要もあります。そこで重要となるのが「棚卸し」の実施です。

棚卸しとは、総在庫の実数を定期的に確認、記録する作業を指します。店舗にある調理前の材料はもちろん、仕込み中や販売前の商品まで、すべての数量や金額を正確に調べる必要があります。

実施のタイミングは店舗ごとに異なりますが、お店の利益を算出するためには、在庫実数を確認し、正確な原価率を算出しなければならないため、少なくとも月に1回は決められた日に、大抵は毎月末に行うのが一般的です。

飲食店においては、在庫実数の確認とともに、食材の保管状況や衛生状態の確認も併せて行いましょう。生鮮食品は長期保管が難しく、場合によっては廃棄によるロスが生じてしまいます。また、料理や飲み物の提供時に分量ミスをしている可能性もあり、気づかない内に食材のロスが生じていることも十分あり得ます。

棚卸しを通じて、仕入れ数に対する売り上げ数と在庫数を割り出すことで、食材ロスがどれくらい発生しているのか把握することが可能です。なぜ廃棄やロスが生じたのか、仕入に無駄はないか、適切な在庫数の見極めや管理方法を見直すことにも役立ちます。

⑤棚卸表・在庫管理表の作成

棚卸しを行うためには、そのお店に適した「棚卸表」を準備する必要があります。一般的にはエクセルを用いて、下記のような項目を用意、その総合計を計算します。

  • 食材名
  • 仕入先
  • 仕入単価
  • 在庫数量
  • 単位
  • 合計金額
  • 前月残
  • 当月仕入
  • 当月残

これらにお店の当月売上高を併せて入力すれば、原価合計や原価率などを算出することができます。

また「在庫管理表」の活用もおすすめです。食材ごとに毎月の入出庫数および在庫数を記録することで、1日あたりの出庫数を算出できます。食材の消費ペースや適正在庫数をデータ化することで、発注が必要な商品とその数量、およびタイミングの予測が立てやすくなります。

中にはエクセルの操作が苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、インターネット上には、あらかじめ項目や計算式が入力された無料テンプレートも数多く用意されています。それらをダウンロードし、必要に応じてカスタマイズすることで、お店に合った在庫管理表を作成することも可能です。

また有料サービスとして、クラウドやアプリケーション上で棚卸しができる在庫管理システムも複数提供されています。飲食店に特化したサービスもあるので、大量の食材を扱う大規模店などでは、導入を検討してみるのもいいでしょう。

ポイントを押さえて効率的な在庫管理を!

これらのポイントを押さえることで、より安全かつ効率的に在庫管理を行うことが可能です。日々、怠ることなく実施することで、お店の利益やお客様満足度の向上に役立てていきましょう。