「持ち主が高齢化し、子供との同居や老人ホームへの入居を理由に住む人がいなくなった」「親から相続したけれど、自宅は別にあるので住んでいない」など、ご家族のさまざまな事情で、空き家になってしまうケースがあります。

「放っておくのはマズいのでどうにかしたいけど、お金をかける余裕はない……」と対応に悩まれている方もいるかもしれません。実は、空き家の修繕やリフォームなどを行う際、補助金や減税制度を利用できる場合があります。

「新型コロナウイルスの影響で、都市ではなく地方で仕事がしたい」「今取り組んでいるビジネスの事業展開を進めたい」という方にとっては、空き家の活用がビジネス展開の選択肢の一つになり得るでしょう。

今回は、空き家事情やその原因・問題点、活用方法、補助金・減税制度について解説します。

日本の空き家事情

日本では、年々空き家の数が増えています。

空き家の定義とは

日本における空き家(法律上は「空家等」という)は、国土交通省によると、「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用が約1年に1度以上なされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)」をいいます。

住宅ではなく倉庫等として使用している場合も、1年以上使用されていない場合は、空き家に当てはまります。

「特定空家等」に指定されると増税の可能性も…

倒壊の危険や、衛生上有害などの理由で「特定空家等」として判断され、なおかつ行政指導をされたにも関わらず改善されない場合は、法律に基づき、地方自治体が強制撤去(行政代執行)を執行することも可能です。

空き家をそのままにしておくと、劣化が進み、「特定空家等」の条件に当てはまるようになるかもしれません。特定空家等の指定は、年間を通して行われています。特定空家等に指定され、さらに勧告を受けてしまうと、土地の税金が軽減される「住宅用地特例」を解除されます。解除された場合、翌年1月1日から固定資産税や都市計画税などが増税されてしまいます。

国内の空き家率

そんな空き家ですが、1958年以降、増加の一途を辿っています。総務省発表の「住宅・土地統計調査」によると、2018年10月時点の国内の空き家率は、過去最高の13.6%でした。住宅総数およそ6,240万戸中、空き家はおよそ848万戸に及んでいます。

全国の空き家数と空き家率の遷移(平成30年総務省調査より)

引用:平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要|総務省

空き家の増えた原因と問題点

これまで空き家が増えてきた主な原因は、戦後に世帯数の増加を上回るペースで新築の住宅が増えたためです。

スムーズな住み替えを実現するためには、5〜10%ほどの空き家が必要と考えられており、人口が増えていたバブル期まではその均衡を保っていました。しかし、バブル期以降、世帯数の増加ペースが鈍化してからも、新築の建築ペースが変わらなかったため、徐々に空き家が発生してきました。人口減少や高齢化が重なり、今後空き家の発生するペースがさらに増えると言われています。

空き家が増え、その地域に住む人が減っていくと、地域活動や生活インフラなどの維持が困難になってしまいます。住人が減ると、スーパーや病院、銀行といった施設が、売上を伸ばして経済活動を続けることができず、閉店・廃業に追いやられる可能性もあるからです。

また、人が住まなくなった住宅は、管理・活用が難しいもの。
両親が自宅を所有している場合は、「いつか自宅へ帰りたい」、「思い出のある家を売りたくない」などの理由で、売却などの手段を選べないこともあるでしょう。
子供が自宅を相続している場合でも、「実家の活用にためらいがある」、「兄弟・姉妹間で処理について揉める」などの理由で、なかなか処理を進められません。

家族で話し合う時間を設け、お互いに納得のいく結論を出す必要があります。

空き家でビジネス!上手な活用例とは

空き家活用方法の一つとして、住居ではなく、ビジネスの場として活用する、という方法があります。例えば、以下のような方法です。

賃貸/シェアハウス

物件の修繕やメンテナンスが必要になるかもしれませんが、賃貸・シェアハウスとして活用すれば、家賃収入を得られます。

借り手を探す際には、「空き家バンク」を活用することをおすすめします。空き家バンクとは、田舎で空き家の貸し借りを行うためのマッチングサイトで、主に地方自治体が運営しています。一部では、民間への運営委託も行われています。

しかし、空き家バンクは、個人では登録できません。そのため、以下のステップを踏んで、貸し手としてサイトに物件の情報を登録しておきましょう。

空き家が所在する自治体のホームページなどで空き家バンクの有無を確認

  1. 空き家バンクの運営主体へ、空き家バンクへの登録希望を連絡
  2. 空き家バンクの運営主体が、空き家バンクへ情報を登録

店舗

住宅をリノベーションし、おしゃれなカフェや雑貨屋などを開業して人気を集めているケースもあります。改装可能な物件で貸し出せば、店舗物件として活用できます。

民泊

民泊として開業し、旅行者向けに貸し出すこともできます。ただし、「民泊新法」で民泊運営のルールが定められているため、条件をクリアしなければなりません。たとえば、民泊として貸し出せる最大稼働日数は年間180日と定められています。

太陽光発電施設

余った電力を売って、売電収入を得ることもできます。空き家での設置は、主に2パターンあります。

1. 空き家の屋根に設置する

屋根の耐久性を専門業者に調べてもらいましょう。耐久性が乏しい場合、修繕しないと設置が難しいかもしれません。

2. 空き家を更地にして設置する

屋根よりも広い面積に太陽光パネルを設置できます。解体費用を出す必要があるため、予算を確保しておきましょう。
※解体・撤去の費用を補助してくれる自治体もあります。

自治体によっては、太陽光発電施設の設置禁止区域が定められています。たとえば、岡山県は、土砂災害の危険性の高い場所での設置に規制をかけています。

また、規制されていなくとも、住宅地などで設置する場合は、「景観を損なうなど近隣住民とのトラブル」や、「周りの建物の高さで日射量が左右される」といったケースもあるため、注意が必要です。

補助金・減税制度を紹介

ここからは、空き家対策に活用できる補助金・減税制度をご紹介します。

補助金制度

各自治体によって、補助金制度の内容は異なります。補助金制度は、主に3種類あります。

1. 空き家の除却に対する補助金

解体や撤去を事業者に依頼する場合の費用を補助します。

2. 空き家の修繕・開業に対する補助金

修繕やリフォームなどを行う場合の費用を補助します。木造住宅の耐震改修や、空き家を使った開業目的での改修に補助金を交付する自治体もあります。

3. 空き家の取得に対する補助金

すでに保有している空き家の活用ではなく、新たに空き家を取得する際にも、使える補助金があります。それは、主に空き家を購入、空き家へ転入する場合に費用を補助してくれるというもの。転入時の引越し費用や仲介手数料の費用の一部を助成する自治体もあります。

減税制度

「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」では、空き家を処分・改修・売却した場合の税制優遇制度を設けています。空き家を相続した相続人が、耐震リフォームまたは取り壊した後に、その家屋または敷地を譲渡した場合は、譲渡所得を3,000万円控除できます。

補助金・減税制度の調べ方

補助金や減税制度は、インターネット検索で調べてみたり、自治体の担当窓口に問い合わせてみてください。「地名+空き家+補助金」、「地名+空き家+減税」などのキーワードで検索してみると、該当ページに辿り着けるでしょう。

補助金・減税制度を使って空き家でビジネスを!

今回ご紹介した活用例を参考に、空き家のビジネス活用を検討してみてもいいかもしれません。
空き家をどう活用していいか、迷ったまま時間ばかりが過ぎていくよりも、まずは情報収集をしてみるなど、一歩踏み出してみることをおすすめします!