そもそも働き方改革関連法案ってなに?「働き方改革」とよく聞くけど、実際は何をすればいいの?

「働き方改革」の言葉だけが先行し、仕事の現場では内容が十分に理解されてないかもしれません。そこで今回は、働き方改革によってお店が注意すべきポイントをご紹介します。ブラック企業度を測るチェックリストも掲載しました。自分のお店が働きやすい環境になっているか、確認してみましょう!

働き方改革関連法とは

働き方改革とは、簡単にいうと、社会やライフスタイルの変化に合わせて、国や企業が積極的に働きやすい環境を整備する方針です。厚生労働省のホームページによれば、働き方改革は「働く方々が、それぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するために」行うと謳われています。

「9時17時(くじごじ)」や「アフターファイブ」という言葉は、サラリーマンの典型的な労働時間を表しています。しかし現在では、17時に終わる仕事はごくごく一部に限られるでしょう。1日8時間労働が基本とは言え、多くの方が夜遅くまで仕事をしているのではないでしょうか。それは、飲食店においても同様です。このように常態化した残業や長時間労働を見直す取り組みが、働き方改革の一つです。

政府が具体的に打ち出している働き方改革の施策には、次のようなものがあります。

  • 労働時間の短縮と労働条件の改善
  • 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
  • 多様な就業形態の普及
  • 仕事と生活(育児、介護、治療)の両立

この目標を達成するために整備された法律が、働き方改革関連法です。この法律は、大企業だけではなく中小企業や小規模事業者にも大きな影響を与えます。例えば、次のような規制が順次施行されています。

時間外労働の上限規制(中小企業は2020年4月からスタート)

「時間外労働の上限は、原則として月45時間、年360時間とし、臨時的な特別な事情がある場合でも、年720時間、単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)を限度とします。月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです」
(かぎ括弧内は、政府広報オンライン「中小企業も!働き方改革」より引用、以下同じ)

長時間労働を見直すために、残業の上限規制が厳しくなっています。

年次有給休暇の確実な取得(2019年4月からスタート)

「使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して年次有給休暇を与えなくてはなりません」

会社の有給が溜まっているけれど、消化できない。有給を取りづらい職場である。このような職場環境を改善するために、年5日間は従業員に必ず有給休暇を与える必要があります。

労働時間の客観的な把握(中小企業は2019年4月からスタート)

「すべての人の労働時間の状況が適切な方法で把握されるよう、法律で義務づけられます」

タイムカードはあるけど正確には利用されていない、タイムカードを切ってから残業するなど、労働時間の管理自体を見直す政策です。従業員の労働時間を正確に把握することで、長時間労働を改善するきっかけになります。無駄な仕事を減らす努力にもつながるでしょう。

勤務間インターバル制度の普及促進(2019年4月からスタート)

「前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に、一定時間の休息を確保する仕組みです」

飲食業界で起こりがちな長時間労働を是正する狙いがあります。お店を閉店してから数時間だけ仮眠をとり、すぐに開店しなければならない状況を改善する必要があります。

残業の割増賃金率の引上げ(中小企業は2023年4月からスタート)

「2023年4月から、月60時間を超える時間外労働に係る中小企業の割増賃金率が引上げられます」

残業の割増賃金率を引き上げることで、経営者は残業を減らす工夫をするようになるでしょう。従業員としては賃金率の上昇で、生産性のアップにつながります。

不合理な待遇差の解消(中小企業は2021年4月1日からスタート)

「正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)と正規雇用労働者の間の不合理な待遇差が禁止されます。正規雇用労働者と職務内容や人事異動の範囲などが同一である場合は同じ待遇(均等待遇)を、違う場合は、その違いに応じた待遇(均衡待遇)を確保しなければなりません。また、派遣労働者は、派遣先の正規雇用労働者との均等・均衡待遇、または、労使協定により同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額と同等以上の待遇を確保する必要があります」

正社員とパート、アルバイト、派遣社員との待遇格差を改善する政策です。「同一労働同一賃金」という考え方が基本です。

上記のような規制は、働き方改革関連法案のごく一部です。お店を経営する事業主は、従業員の「職業生活の充実」に対する責任を負います。労働時間の短縮や職場環境を改善することで、従業員が生き生きと仕事に専念できるよう、事業主は努力するように求められているのです。

チェックが入ったら即アウト!ブラック企業チェックリスト

このように、働き方改革関連法案は順次施行されていますが、現状として自分のお店はどのような職場環境なのでしょうか?ブラック企業チェックリストを使って、今の職場環境を診断してみましょう。自分の会社では当たり前になっていたことが、世間的にはブラックとみなされる可能性もあります。

  • タイムカードの使い方がいい加減で、労働時間の管理が曖昧
  • サービス残業が当たり前になっている
  • 1ヵ月の残業時間が100時間を超えている
  • 複数月の残業時間が80時間を超えている
  • 有給休暇はあるが、実際には休暇が取れない
  • 終業時間と翌日の始業時間の間がほとんどないシフトが組まれている
  • 同一業務に対して正社員と派遣社員で待遇が異なる

タイムカードの使い方がいい加減で、労働時間の管理が曖昧

定時になったらとりあえずタイムカードを切り、その後また仕事をする働き方をしていませんか。「労働時間の客観的な把握」が法律で義務づけられています。

サービス残業が当たり前になっている

従業員から不満の声がないからといって、サービス残業が当たり前になっていませんか。それは経営者が従業員の好意に甘えていることになります。残業手当を支払うのは当然ですが、そもそも残業がいらないシステムづくりに力を入れましょう。

1ヶ月の残業時間が100時間を超えている

1ヶ月の残業時間100時間が過労死ラインと言われています。従業員が過労で倒れてしまえば、仕事どころではありません。労働時間の管理を徹底しましょう。

複数月の平均残業時間が80時間を超えている

複数月の平均残業時間は、80時間が過労死ラインと言われています。「時間外労働の上限規制」は厳しくなっています。繁忙期のある程度の残業は仕方がないかもしれませんが、平均で80時間を超えないように調整しましょう。

ちなみに、過労死ラインとは厚生労働省が通達を出している基準です。「1ヶ月の残業時間が100時間を超えている」、または「2〜6ヶ月の平均残業時間が80時間を超えている」という2つの目安があります。この残業時間が続くと、脳卒中や心臓病になるリスクがあります。

有給休暇はあるが、実際には休暇が取れない

年5日間の有給消化が法律で義務付けられています。有給を取りやすい職場づくりの努力をしましょう。

終業時間と翌日の始業時間の間がほとんどないシフトが組まれている

「勤務間インターバル制度」の普及が進められています。人材調達、シフト調整などで、連続した勤務にならないように配慮しましょう。

同一業務に対して正社員と派遣社員で待遇が異なる

働き方改革では、同一労働同一賃金の考え方が基本です。派遣社員という理由で待遇差をつけることは認められません。

職場環境の改善は、従業員のモチベーションアップにつながります。働きやすい職場の方が、生産性も向上します。今一度、自分のお店の働き方を見直してみましょう。

働き方改革の導入例

自分のお店がブラック企業ではなくても、働き方で改善できる点はたくさんあるかもしれません。働き方改革の具体的な例をご紹介します。

営業時間を短縮する

長時間労働の温床になっているのが、24時間営業です。大手飲食チェーン店では、24時間営業廃止の動きがあります。

お店を正社員とアルバイトのシフトで回している場合、人手が足りなければ必然的に一人ひとりの労働時間が長くなります。ただでさえ人材不足な飲食業界に、24時間営業は労働負担の追い打ちをかけるシステムと言えるでしょう。

24時間営業ではなくても、シンプルに営業時間を短縮するのは効果的な働き方改革になります。飲食店ならお客様は食事時のピークに集中します。つまり、午前中や夕食前の夕方は、無理をしてお店を開けている必要はないでしょう。ラーメン屋など飲食店の中には、昼食と夕食の間の時間帯に中休みを設けているお店が多くあります。ただ単にお客様が少ないから店を閉めているわけではなく、休憩や営業準備が余裕を持ってできるので、合理的な働き方と言えるでしょう。

1日の提供食数を決める

飲食店なら1日に提供する食数を決めておくことが、働き方改革にもつながります。京都のあるステーキ屋は1日100食とあらかじめ決めておき、売り切れになれば営業を終了しています。1日100食限定とすることでお客様にとってはプレミア感が出るとともに、従業員は効率的に働けば早く帰れるので、モチベーションのアップにつながります。

アルバイトやパートも社会保険に加入させる、有給を与える

従業員の待遇を良くすることで、働き方が変化します。好待遇の1つとして、アルバイトやパートにも社会保険の加入、有給付与をしている会社があります。求人募集をかけるときのアピールになり、現在働いている人にとっては長く働き続ける動機になります。

業務にITを導入する

業務量を減らすことを目的にITを導入することで、働き方改革ができます。例えば、タブレットPOSレジを導入すれば、売上、在庫、勤怠、顧客などの様々な管理業務を、1つのシステムで扱うことができます。業務負担が軽くなれば、長時間労働の改善につながりますね。

さらに、POSレジならキャッシュレス決済にも対応可能です。会計やレジ締めなど、お金を管理する業務はシンプルになり、会計ミスも防止することができます。最近では、会計を完全キャッシュレスにすることで、現金の取り扱いをしないお店もあります。

働き方改革で生産性をアップ!

職場で従業員が快適に働ける環境づくりは、経営者の責任で積極的に行わなければなりません。まずは自分のお店がブラック企業になっていないか、チェックしてみましょう。快適な職場環境ができれば、従業員の満足度や生産性はアップします。気持ちよく働ける、従業員とお客様が共に幸せになるお店を目指しましょう!

※掲載情報は2020/6/2現在